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屋上ビアガーデンの誕生秘話 きっかけは「ホンダ」のバイク展示会

『ニユー・トーキヨー』本店の地階にあるドイツ風ビヤホール。奥行あるバースタンドにインテリ層が集まった

『ニユー・トーキヨー』本店の地階にあるドイツ風ビヤホール。奥行あるバースタンドにインテリ層が集まった

オープン時には300mの長蛇の列

 ビヤホールの歴史は古く、日本で初めて開業したのは、1897(明治30)年といわれている。ビヤホールの老舗『ニユー・トーキヨー』が、東京・銀座の数寄屋橋畔に地下1階、地上5階建ての総合飲食店をオープンしたのは1937年6月9日のこと。

「1階が大ビヤホール、2階が和食店、3階はすきやき店、4階は喫茶、5階が事務所で、地下1階はドイツ風ビヤホールでした。どのフロアでも生ビールを提供する、生ビール中心の全館飲食店という形態は、日本初だったと思います」(同店経営戦略・柴垣淳さん・以下同)

 オープンするやいなや、ビルの周りには300mもの長蛇の列ができ、連日大盛況となった。当時、公務員の初任給が75円だったが、ビール1杯がいまの価値で約2000円相当。つまみは豆とオリジナルの干鱈だった。

 1952年、大阪第一生命ビルに、250席という当時最大級のビヤレストランを開店。そこで初の試みとなったのが、屋上ビアガーデンだ。

「きっかけは『本田技研工業』が行った、バイクの展示会でした。当初は、地下1階の店舗を会場に、というご要望があったのですが、ほかのお客様もいらっしゃることから屋上を会場にすることになったのです。

 そこでビールを配ったら招待客らに大好評で、新聞記事にも取り上げられました。最初は3日間の展示会で屋上を使う予定だったのですが、展示会後も客足は伸びる一方で、結局、その年は12月まで屋上でビールを提供しました」

 圧倒的な支持を受け、翌年の夏から正式に屋上ビアガーデンをオープン。夏の蒸し暑さを凌ぐ名所はこうして誕生した。

※女性セブン2021年9月23日号

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