そしてウニ売りのお婆さんですが、この人も多分固定のファンがついているのでしょう。ウニを路上で売るという珍しい体験をしていたので立ち止まって見ていたら、客のお婆さんが「アンタ、この人のウニはうまかよ。他の店で買うたらこの人の2倍以上はするわ」と言われました。
このパックのウニ(写真)ですが、一体何十匹のウニを詰めたのか、というレベルで、2500円! しかも濃厚。恐らくこのクオリティのウニをスーパーで買ったら6000円ぐらいはすると思います。
かくして毎日路上を歩く中、こうした魅力的な路上販売の人々に出会い、充実した消費生活を送れているのです。都会でもこうして路上で果物とか売っていたら買うんじゃないですかね? タイの首都・バンコクでは路上のキンキンに冷えたフレッシュフルーツ売りの人やら、オレンジジュース売り、パッタイ(タイ風焼きそば)売りの人がたくさんいるわけで、こうした商品はバンバン売れている。
路上販売、許可の問題等はあると思いますが、もっともっと流行ってほしいと思います。売り手と買い手、両方の満足度がある売り方ではないでしょうか。
【プロフィール】
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう):1973年生まれ。ネットニュース編集者、ライター。一橋大学卒業後、大手広告会社に入社。企業のPR業務などに携わり2001年に退社。その後は多くのニュースサイトにネットニュース編集者として関わり、2020年8月をもってセミリタイア。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『縁の切り方』(小学館新書)など。