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窮地のJTB、焼け野原からの再出発 「業績回復には10年かかる」の声も

JTBは窮地をどう脱するのか(時事通信フォト)

JTBは窮地をどう脱するのか(時事通信フォト)

 旅行業界最大手の「ガリバー企業」と称されるJTBがコロナ禍で業績不振に苦しんでいる。2021年3月期の連結決算は、売上高が1兆2886億円だった前年から71.1%減の3721億円になり、最終損益は過去最大となる1051億円の赤字に落ち込んだ。

 部門別に見ると、国内旅行が前年比66.4%減、海外旅行にいたっては前年比94.9%減という惨憺たる数字だった。借入金も過去最多の1076億円にのぼっている。

 決算発表時、JTBはグループ従業員の4分の1にあたる「7200人の人員削減」、「国内115店舗の閉鎖」などを進め、「ボーナスを2022年夏までゼロとする」方針も示したが、社外の人間にも衝撃的だったのは、3月末に行なわれた大幅な減資である。資本金を23億400万円から1億円にまで減らした。資本金が1億円以下なら、税制上は中小企業と見なされ、複数の税制上の優遇が受けられるのだ。

 税制上の中小企業にまで転落したJTB。コロナ収束後の復活に向けて社内改革を図っているが、先行きは不透明だ。

 専門家からは、JTBの経営の“綻び”は、コロナ前から見え隠れしていたという指摘もある。航空・旅行アナリストの鳥海高太朗氏がこう指摘する。

「旅行業界の主戦場がオンライン、ネット販売になるなかで、JTBは乗り遅れてしまった。業績も頭打ちとなり、2018年3月期の連結決算の最終損益はなんとか10億円の黒字を堅持しましたが、2019年3月期連結決算では当時としては過去最大の151億円の赤字を記録した。2020年3月期は再び16億円の黒字を確保しましたが、苦しい状態が続いていたことは事実です」

 昨年4月にはトップが交代し、欧州事業の要職を歴任してきた山北栄二郎氏が新社長に就任。新しい時代に即した経営の舵取りが求められているが、前途多難の状況である。

 今年4月には、海外に住む人がバーチャル空間で訪日体験ができる「バーチャル・ジャパン・プラットフォーム」を立ち上げたものの、専門家からは厳しい評価が。

「正直な評価を言えば、CGの質が低いうえ、コンテンツとして成立していない。発表直後に一瞬だけ消費者の間で話題になりましたが、いまはまったく話題にもなりません」(観光産業の現状に詳しい国際カジノ研究所所長の木曽崇氏)

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