淑徳大学経営学部観光経営学科学部長・教授で観光ジャーナリストの千葉千枝子氏も、今後の道のりは険しいと評価する。
「立ち直るための条件は、オンライン化の促進と強みを生かした事業の構築です。しかし、コロナ禍による打撃が非常に大きかったことや、有能な人材が流出してしまったことを勘案すると、業績の回復には10年はかかるのでは」
それほどまでに厳しい状況のなかではあるが、元社長の舩山龍二氏(社長在任期間:1996~2002年)はこういって後輩たちに期待をかける。
「コロナが起きた時は、戦後の焼け野原を思い浮かべました。お客さんがまったくいないわけですから、まさにがれきからの再出発。それくらいの覚悟でやり直してほしい。
ワーケーションなどコロナによって働き方が変わり、旅行スタイル自体も変わりました。もうツアーの旗についていく時代ではありません。この変化を、JTBにとって大きな転換のチャンスにしてほしい」
JTBは中小企業からガリバーへと返り咲けるのか。その道筋は、まだ見えない。
※週刊ポスト2021年10月8日号