就活で「部活は何をやってましたか?」と聞かれ…
帰宅部に注がれる大人からの偏見やネガティブイメージに苦しんだ人もいる。IT企業で働く20代男性・Bさんは、中学は文芸部に所属し、高校は帰宅部だった。高校時代には教師やクラスメイトから、『帰宅部だから』として、ネガティブなレッテルを貼られた経験があるという。
「勉強して成績が良くても、『帰宅部で時間あるから当たり前』『部活の朝練だるいわー、帰宅部は楽で良いよな(笑)』『あいつは人付き合いが嫌いだから、帰宅部なんだよ』などと、何かと揶揄されましたね。僕が通っていた高校では、部活至上主義みたいなところもあって、部活に入っていないと肩身が狭かったです」(Bさん)
大学ではアルバイトをしながら文化系のサークルに加入し、学生生活を謳歌したが、就活時にまたしても苦しむことになった。
「就活の時の面接で、『中高時代に何か部活に入っていましたか?』『これまでに運動経験はありますか?』と聞かれることが多くて。何か部活やサークルに所属しているのは当たり前という前提で、さらに運動部であることが重要みたいな感じでした。『高校時代、何もしていなかったのはなぜ?』と聞かれることも多くて、『特に入る理由が見つからなかった』と答えると、ものすごく何かやる気がない人も思われる。部活より本や漫画を読んだり、映画を観たりするのに忙しかっただけなんですけど……」(Bさん)
素直に事実を話し、受かった会社が現在勤めている会社だという。Bさんは『別に部活だけが人間の全てじゃないということですよ』と冷静だ。
入った部活で嫌がらせに遭って…
部活に所属していたが、帰宅部に“転部”した人もいる。商社で働く20代女性のCさんだ。中学時代に3年間、好きでもない運動部を継続し、高校入学時も親から『みんな部活に入ってるでしょ』と同じ部活の継続を勧められ、しぶしぶ入部したが……。
「高校の部活で先輩から嫌がらせに遭ったのをきっかけに、スパッと辞めました。帰宅部に“転部”して、学校周辺の商店街で買い食いしたり、帰宅部の友人とカラオケしたりめちゃくちゃ楽しかったです。自由度が違いましたね」(Cさん)
大人になった今、周りの人たちと話すと、「学校に行くことは嫌ではなかったが、部活は苦痛だった」という声も意外に多く聞くという。そうした経験から、Cさんは次のように思いを語る。
「嫌な部活はやめてもいいし、別に必ず部活に入る必要はないと思う。部活を継続すれば、忍耐力がつく、達成感が味わえるという人もいるけれど、必ずしもそれが絶対だとは思いません」(Cさん)