飲めない私に優しかった夫が豹変
あまりお酒を飲めない人も苦労しているようだ。IT企業で働く20代女性・Bさんは、コロナ以前は「優しい夫だったのにどうして……」と悲しそうな表情を見せる。
「在宅勤務になった去年の夏から私への当たりが徐々に強くなった気がします。それまでは、お酒好きの夫のために、私は飲めないなりに、アルコール度数の低いお酒で一杯だけ付き合ったり、ノンアルコール飲料で付き合ったりしてきました。ただ、同じことをしても最近、夫は『それしか飲めないのか』『もっと酒に付き合えよ』と私への不満を口にし、不機嫌になりがちで困っています」
ある時Bさんは、『今日は休肝日にしよう』と言って夫の肝臓を気遣ったが、『やっぱりお前は俺と飲みたくないんだな』と怒られてしまったそうだ。
「夫は私への当てつけと言わんばかりに、私の見えるところでタブレット端末の音量を大きめにして、好きな女性YouTuberの飲み配信や女性VTuberのゲーム実況を見ながら飲んでいます。寂しいよりも安心しましたが、いつも一緒にプレイしていたスマホゲームの協力プレイを断られるようになってしまい、夫婦のコミュニケーションが一つ減ってしまいました」(Bさん)
Bさんは、夫婦関係がこのまま悪化の一途をたどるのではないかと危惧している。
「一杯付き合っても、ノンアルコールでもダメ、私はどうすればいいのでしょうか。努力はしているつもりですが、お酒を飲みすぎると気持ち悪くなるので、夫の晩酌に付き合うのは無理があります。離婚という最悪の結末にはしたくないので、腹を割って話し合ってみようと思います」(Bさん)
お酒好きな男性はこの“夫婦間アルハラ”をどう思っているのか。広告代理店で働く30代男性・Cさんは、「酒好きならば一人で飲む酒もうまいはず」と言いながらも、アルハラに考えられる要因をこう分析する。
「自分だけ飲んで酔っ払って、いろいろと話をしているのに相手だけがシラフに近い状態というのが、気に食わない人もいます。一緒に『このお酒おいしいね。このつまみとは相性が良いよね』と共有したい人は多い。それができないことに寂しさを感じる人もいるのではないでしょうか。在宅勤務という慣れないストレスを、家飲みで妻にぶつけていることも考えられますね。コロナ以前は優しい夫だったのならば、外飲みできるようなれば、状況は改善するかもしれませんけど……」(Cさん)
かつてアルハラと言えば、職場の上下関係から起こりがちなものだったが、コロナ禍では家庭内でも問題視されつつあるようだ。