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“緊縮財政派”の岸田新総裁誕生、株式市場はどう評価しているのか

岸田文雄・新総裁の誕生で株価はどうなる?(時事通信フォト)

岸田文雄・新総裁の誕生で株価はどうなる?(時事通信フォト)

 9月29日の自民党総裁選で岸田文雄・新総裁が誕生した。河野太郎・行政改革相との決選投票を制し、10月4日召集の臨時国会で第100代首相に選ばれる見通しだ。この総裁選前には新総裁への期待感が高まり、日経平均株価は3万円台を回復していたが、新総裁が決まった後は、方向感の見えにくい展開が続いている。新たな総裁誕生を株式市場はどう評価しているのか。カブ知恵代表の藤井英敏氏に聞いた。

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 今回の総裁選候補者のなかで株式市場にとって最も歓迎されそうだったのが、高市早苗・前総務相で、その次が国民的人気のある河野太郎氏。“緊縮財政派”と見られていた岸田文雄氏は株式市場にあまり歓迎されていませんでした。また、金融所得課税を見直し、投資による値上がり益にかかる一律20%の税率を引き上げる考えを示していたことも市場にとって懸念材料です。

 ただ、いざ総裁になると、「数十兆円規模の経済対策」を口にしたり、決選投票で協力を得た高市陣営の主張を取り込むような柔軟な姿勢を見せているため、正直、市場では、可もなく不可もない政権運営になると見られています。今回の結果からいえることは、結局、自民党は“変化”を望まなかったということ。市場では、失策続きだった菅義偉首相に代わる新首相への期待感が高まっていたのですが、ふたを開けてみれば、何も大きくは変わっていない。少なくともアベノミクスで行なってきた金融緩和や積極的な財政出動に大きな変わりはなく、株式市場を取り巻く環境に大きな変化は見られない。この先、国内政治要因で株価が大きく動くことは考えにくいと見ています。

 変化よりも安定を選んだ結果、もはや日本株を左右する主な要因は「外需」にあると見た方がいい。具体的には、米中の動向です。

 米国ではインフレ懸念もあって長期金利が上昇し、IT企業の多いナスダック総合指数は弱含み。日経平均株価も2000年に30銘柄もの大幅入れ替えでITハイテク銘柄の割合が高まったことから、ナスダックの下落圧力がかかりやすくなっています。中国では不動産大手の恒大集団の債務問題を始め、IT企業など、いわゆる金持ちを抑制する動きが高まっており、中国経済の成長鈍化はほぼ確実な情勢となっています。

 そうした状況を受けて、日経平均も総裁選当日の29日に3万円を割り込み、その後も大きな上昇は見られず、この先も当面は、上値の重い展開が続くと見ています。

 ただ、相場全体はそうだとしても、個別銘柄では「岸田関連銘柄」の物色が始まっています。

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