アメリカの債務上限問題に市場参加者の注目が集まっていたが、マーケットにどのような影響を与えるものだったのだろうか。FX(外国為替証拠金取引)などのカリスマ主婦トレーダーとして知られる池辺雪子さんがトルコリラの見通しと共に解説する。
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10月7日(現地時間)、米議会上院与野党は、債務上限を12月初旬まで引き上げることで合意しました。アメリカは国債などによる債務発行の上限引き上げ可否を議会で決めていますが、与野党の協議は難航していました。もし債務上限の引き上げができないと、アメリカはデフォルト(債務不履行)に陥る可能性もありましたが、とりあえず目先の危機は回避されたようです。
アメリカがデフォルトすれば、リーマン・ショック以上の衝撃を与えるため、さすがにどの政治家もそれは回避したかったことでしょう。
過去を振り返ると、アメリカの債務上限問題は2011年、2013年、2015年、2017年にも起きており、2011年はデフォルトを回避したものの、格付会社のS&Pがアメリカの格付けを格下げし、大きな波紋が広がりました。今後、格付会社がどのようなアクションを起こすのかには注意が必要で、もし格下げになった場合は、投資家がアメリカ国債を手放すことで、悪い金利上昇を引き起こすリスクも考えられます。
現在、アメリカはトリプルAという最上位の格付けになっていますが、それが1つでも引き下げられるとマーケットに大きなインパクトを与えるでしょう。ただ投資家目線で見ると、もしそれが短期的な影響に留まるなら、株価が下落したところが押し目となる可能性もあるので今後の動向に注目です。
コロナ収束が追い風につながるトルコリラ
続いてはトルコリラについて解説します。昔はスワップポイント(金利差損益)の高かったトルコリラは、一時期より投資先としての魅力は落ちている印象ですが、他の通貨に比べれば現在でも高金利通貨といえます。
コロナ禍が世界的に収束していけば、観光業に支えられているトルコにとって追い風となるのは間違いありません。トルコは地政学的なリスクが度々問題になりますが、最近は大きな紛争につながりかねない話は出ていません。マクロ経済が回復する過程で、トルコリラで長期運用目的のロングポジションを作る戦略も考えられるのではないでしょうか。