9月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で米金融緩和の出口戦略が議論される中で、中国・恒大集団の債務危機が世界経済の先行きに影を落としている。こうした相場にインパクトを与えるイベントが続出する中で、トレードする際は、どういった点に注意すればよいだろうか。カリスマ主婦トレーダーとして知られる池辺雪子さんが解説する。
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マーケットの注目度が高かったFOMCが9月21~22日に開催されました。政策金利は「据え置き」となりましたが、テーパリング(量的緩和縮小)は11月から段階的に開始する見通しで、2022年中には完了する可能性も示唆されました。また市場関係者のコンセンサスが、2022年中に利上げを行う方向に傾いてきているという点もポイントの一つです。
ただし、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は、必要に応じてテーパリングのスタートを遅らせる選択肢を持っていることにも言及しています。こうして、テーパリングが「利上げへのカウントダウンではない」ということをマーケットにしっかり伝えたので、株価は底堅く推移し、米国債金利も予想外の動きをすることなく、会合を終えられたと思います。今回のFOMCはマーケットとのコミュニケーションが上手くいった好例と言っていいでしょう。
その一方で、現在のマーケットの関心は、中国の不動産開発大手・恒大集団のデフォルト(債務不履行)危機の話題で持ちきりです。中国のサッカークラブ・広州FCの運営母体としても知られていますが、その企業の33兆円以上もの負債がどうなるのか、はたして中国政府が救済するのか――、個人的には企業単体で生き残ることはかなり難しいと考えていますが、中国国内に限らず世界経済に大きく影響を与えかねない問題として、マーケットも動向を注視しています。
ただ、こうした一見、相場にインパクトを与えそうなイベントの中には、後から見ればそれほど重要視すべきことではなかったというものもあり、今回も長期的な投資目線を変更するような材料ではないのではないでしょうか。トレンドというのは早々に変わらないもので、チャートが示した方向をまずは重要視するようとよいでしょう。
イベントに一喜一憂しながらトレードしていても、あまり意味がありません。今は恒大集団が注目されていますが、その他にもニュースになっていないだけで、潜在的にデフォルトリスクを抱えている中国企業はまだあるかもしれません。実際に、中堅建設会社の負債を不安視する報道も出てきています。
しかし多くの個人投資家にとって、個々の企業の懸念材料を細かく調査しながら投資を行うことはとてもハードルの高いことでしょう。それではどうすればよいか。そのひとつの解決策となるのが、チャート分析です。私はチャートから得られる情報をメインにトレードを行うことで、ニュースに振り回されることもなく、着実に利益をあげられるようになりました。
トレードは心理的な負担が売買判断に影響を及ぼさないように行うことが大切で、メンタルが不安定になれば負ける可能性は高くなります。精神的負担を軽減するためにはトレードのルールを設定することも重要なので、投資初心者の方はトレードルールをしっかりと固めることから始めてみるのもいいでしょう。
【PROFILE】池辺雪子(いけべ・ゆきこ):東京都在住の主婦。若い頃から株や商品先物投資を学び、2000年からFX投資を始め、これまでに8億円以上の利益をあげている敏腕トレーダー。2007年春、脱税の容疑で起訴、同年夏、執行猶予刑が確定。その結果、所得税、延滞税、重加算税、住民税、罰金(約5億円)を全て即金で支払う。2010年9月に執行猶予が満了。現在は自らの経験をもとに投資、納税に関するセミナー、執筆活動を行っている。トルコリラ/円、ドル/円、他通貨、日経平均株価などの値動きに関する詳細な分析を展開する「池辺雪子公式メルマガ」も発信中(http://yukikov.jp/)