また、個人型DCで新たに投資にチャレンジする人を取り込むことで顧客層のすそ野拡大も狙えるとあって、金融機関でも品揃えやサポート体制を強化する動きがみられている。
すでにSBI証券が法改正を見越して今春に個人型DCで投資できる投信商品を20本追加したほか、りそな銀行でも全店舗で相談や申し込みに応じる体制を整えた。
また、楽天証券が新規参入を発表したほか、フィンテックベンチャーの「お金のデザイン」と福利厚生代行の「ベネフィットワン」が業務・資本提携して設立した子会社MYDCも参入する。
個人型DCに加入するには、自分で金融機関を選んで加入手続きをする必要がある。節税メリットはどの金融機関を選んでも同じだが、どんな金融商品に投資できるかは金融機関によって大きく異なる。
また、口座を開く際と、維持する間は手数料が必要になるが、この金額も金融機関によって差がある。このため、金融機関を選ぶ際は、まず投資したい金融商品があるかを確認しよう。
仮にインデックス投資を中心に考える場合、TOPIX(東証株価指数)など同じ指数に連動する投信なら運用成績はどれを選んでも同じだが、自動的に差し引かれる信託報酬は商品によって大きく異なるので注意が必要だ。
信託報酬自体はわずかだが、長期間積み重なると見過ごせない額となる。たった0.1%の差でも、100万円を30年間運用すると残る金額は3万円変わることになり、収益に与えるインパクトは小さくない。
一つひとつの商品を吟味して、同じような投資商品であればなるべく信託報酬が安いものがある金融機関を選びたい。
■文/森田悦子(ファイナンシャルプランナー・ライター)
※マネーポスト2016年秋号