ベンチャー企業の友人から「一緒にやろう」
IT企業に勤める30代男性・Bさんは、新卒入社した大手企業から、創業5年目のベンチャー企業に転職したが、それも失敗に終わったという。
「大学時代の友人から、『今、自分がいるベンチャー企業が第2創業期で事業責任者を探しているので、一緒にやらないか』と誘われました。私がそれまでやっていた仕事とも関連性があったうえ、成長性も期待できたので、チャレンジしてみる価値はあるかな、と。当時在籍していた企業にいるよりは出世も期待できるし、うまく行けば“事業部長”の肩書きも手に入るチャンスだと感じました」(Bさん)
友人からは「オープンな社風でフラットな組織だから、大手みたいなしがらみがない。年齢やキャリアにかかわらず自由闊達な議論ができる」と企業風土の説明を受けており、その言葉も転職を後押しした。給与についても「現状維持」を約束されていたという。
だが、そうした期待や思惑は、入社後に脆くも崩れ去っていく。人間関係、給与……どれも理想とかけ離れていたそうだ。
「創業メンバーたちのプライドなのか、とにかく私の発言や企画に上から目線で反発してくることが多くてイライラ。それだけならまだしも、私の入社半年後に友人が退職してしまいました。どうやら友人は元から会社を辞める予定で、社長から辞める条件として、『誰か代わりになる人を入社させること』を提示されていたようです。
さらには、会社側は私が来てすぐに成果が出ることを期待していたようで、それがかなわなかったことで社長から翌年の年俸の大幅ダウンを宣告されました。中長期的な視点で取り組まなければならない事業だったのに、さすがに無茶ぶりすぎです。入社1年で退職することにしました」(Bさん)
「友人の紹介だから」と信用して転職したが、理想と現実は大きく異なっていた。
「そもそも友人が語る会社像は、あくまで友人視点。自分にとって良いものとは限りません。当然ながら私と友人は価値観が異なるわけですから。会社の良い点が誇張されている可能性もあります。結局、自ら求人を探して転職活動をする方が後悔は少ないんじゃないかと思うようになりました」(Bさん)
「残業なし」を重視しすぎて…
ワークライフバランスにこだわりすぎて失敗した人もいる。専門商社に勤める20代男性・Cさんだ。前職の労働環境がひどかったため、転職活動を決意した。
「前職は残業が多く、体を壊してしまったことから、もうブラックな会社では働きたくないという思いばかり先行していました。待遇や職場の人にどんな人がいるのかなど、細かいところには目がいかず、とにかく残業がないところを優先しました」(Cさん)