キャリア

短大卒の一般職女性社員が超有名企業で“欠かせない存在”になった経緯

短大卒で「一般職」として入社したある女性の会社人生とは(イメージ)

短大卒で「一般職」として入社したある女性の会社人生とは(イメージ)

 時代が令和に変わっても、日本企業が「学歴社会」である面はまだまだ残っている。たとえ実力があっても、学歴が低いことで損をしたり、不条理な思いをしたことがある人もいるだろう。そうした中で、「短大卒」という学歴ながら、超高学歴集団の一流企業で管理職になり、周囲から一目置かれる存在となっている女性会社員も存在する。ただ、別に彼女に仕事上の大きな実績があるわけではなく、かといって特別な資格があるわけでもない。時代の風潮に流されるかのように社内での地位を確固たるものにしていった、彼女の会社人生を紹介しよう。

 神奈川県在住のヒロミさん(50代女性)がX社に入ったのは1990年のこと。X社は当時から現在に至るまで、就職人気ランキングで必ず上位に入る世界的企業だ。給与水準は極めて高く、近年の入社試験の倍率は数十倍。しかしヒロミさんが就職活動をしたのはバブル絶頂期で、一流企業が短大卒の女性をバンバン採用しており、それほど偏差値の高くない短大に通っていたヒロミさんでもX社に入ることが出来た。

 ヒロミさんは「一般職」での採用だった。就職後に配属されたのは「秘書課」。部長や専務の秘書として「お茶出し」「コピー取り」「経費の精算」「アポ取り」「接待のお供」などの“雑用”をせっせとこなしたが、2000年を前にして社内に変革の風が吹く。

「入社して10年くらい経った時、“雑用は女性に”という風潮が問題視され、一般職というカテゴリーがなくなりました。それまで一般職は長居せず、結婚したら辞めるのが暗黙の了解でしたが、私は結婚する気がなく、『辞めたら二度とこんな良い会社には入れない』と思っていたので、もともと辞める気はゼロ。そのまま居残り続けたら、なし崩し的に数年後に総合職へとスライドしました」(ヒロミさん。以下同)

 数十人いたはずの一般職の同期や先輩は1人、また1人と減り、気付いた時にはHさんだけに。待遇は総合職になったが、仕事の内容は一般職時代と同じで、上司に仕える身だったという。その後、他の部署に移り、雑用以外の仕事もするようになったが、どこへ行ってもヒロミさんは“特別な存在”だった。

「入社後、秘書として最初に仕えたのはMさんという役員でした。Mさんは仕事に厳しいと評判でしたが、私はとにかく世間知らずで、怖いもの知らずだったので、図々しくもMさんことを下の名前で呼んでいたんです。しかしMさんは怒るどころか、面白がって可愛がってくれ、飲みに連れて行ってもらったり、ゴルフにお供したりする内に、Mさん世代の人とすっかり仲良くなりました」

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