投資情報会社・フィスコが10月18日~10月22日のドル円相場の見通しを解説する。
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今週のドル円は伸び悩みか。米連邦準備制度理事会(FRB)は11月中に債券買入れの段階的縮小(テーパリング)に着手する可能性があることから、今週発表される経済指標が市場予想を上回る内容だった場合、リスク選好的なドル買い・円売りは継続する可能性がある。ただ、ドルは短期間で大幅に上昇していることから、1ドル=114円台では短筋筋などから利益確定を狙ったドル売りが増える可能性がある。1ドル=115円近辺では輸出企業などのドル売りも想定されており、一段のドル上昇は抑制されそうだ。FRBが10月13日に公表した連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(9月21-22日開催分)によると、金融当局者はテーパリングに関し11月半ばか12月半ばの開始で意見がほぼ一致したことが明らかになった。パウエル議長は同会合後の記者会見で2022年半ばまでテーパリング完了の可能性に言及している。
ただ、9月消費者物価コア指数は前年比+4.0%となり、市場予想と一致。NY原油先物(WTI)は1バレル=80ドル超の高水準が続くものの、過度なインフレ懸念は後退しつつある。
一方、中国恒大集団の債務問題は引き続き市場の懸念材料となりそうだ。関係筋によると、中国政府は、国内大手銀行の一部で住宅ローンに課していた制約を緩和しているもようだ。不動産開発大手、中国恒大集団の債務危機による影響の波及を巡り、当局が懸念を強めているとみられる。そのため、主要通貨に対するリスク回避的な円買いが急速に広がる可能性は残されており、ドル・円の取引でもドル買い・円売りは抑制される可能性がある。
【米・10月フィラデルフィア連銀景況調査】(21日発表予定)
21日発表の10月フィラデルフィア連銀景況調査は24.0と、前月の30.7から伸びは鈍化する見通し。市場予想を大幅に下回った場合は円買い材料となる。
【米・10月IHSマークイット製造業PMI】(22日発表予定)
22日発表の10月IHSマークイット製造業は、60.5と予想されており、9月実績をわずかに下回る見込み。市場予想と一致、または上回った場合は株高・円安の相場展開となる可能性があるが、予想を下回った場合はリスク回避的なドル売り・円買いが強まる可能性がある。