全国的に新型コロナウイルスの新規感染者数が激減し、「Go To」再開への議論も進むなか、“今がチャンス”と地方自治体が独自で旅行者への還元を始めている。「今のうちに旅行を」と考えるなら使わない手はない。
政府は11月中に「Go Toトラベル」のガイドラインを策定予定で、年末年始の帰省に間に合うかどうかという状況だ。
国の動きに先駆け、“独自のGo To”を始める自治体が現われた。
埼玉県秩父市、長野県志賀高原、山梨県甲府市、岐阜県岐阜市、島根県松江市(10月20日時点)が、宿・ホテル予約サイト『楽天トラベル』と提携して、同サイト経由で予約した旅行にクーポンを発行している。
宿泊費の30%ほどが割引されるのが中心で、昨年の「Go To」をなぞった内容だ。そのなかで三重県伊勢志摩エリアにあり温泉地としても知られる鳥羽市が始めたキャンペーンが“価格破壊”と話題になっている。
三重県在住者を対象に鳥羽市内での宿泊費が割引になるクーポンで、夫婦2人なら1万1000円以上の利用で1万円割引、家族4人なら2万1000円以上の利用で2万円割引になる。うまく使えば、実質1000円で泊まれる。さらに、現地で使えるクーポンが1人につき3000円分もらえるので、家族4人なら1万2000円になる。
前回の「Go To」は、宿泊費の35%が割引され、15%分のクーポンがもらえたので、実質半額だったが、鳥羽市の還元率は100%を超えている。
クーポンは先着順
なぜこんな大盤振る舞いをするのか。鳥羽市観光協会はこう説明する。
「鳥羽市は観光依存度が高い自治体で、観光を活性化しないと経済が回りません。鳥羽市には素泊まりで5000円前後の宿が多いので、そうした施設を利用してもらえるような制度設計をしました。今後はコロナの感染状況を踏まえて、近隣県へと徐々に増やしていければと考えています」
今回、鳥羽市が発行するクーポンは総額で2000万円にのぼる。国からまだ「Go To」の補助金が交付されていない段階なのに、なぜ実現できたのか。
「財源は、コロナの感染対策や経済対策を促す国からの交付金『地方創生臨時交付金』です。支給額は自治体の規模で変わりますが、使途は自治体に委ねられています。鳥羽市は観光業がなければ経済が回らないため、観光業支援に使うことにしました」(鳥羽市観光課)