とある“ご結婚”が日本中から注目を集めているが、そもそも結婚は何かとトラブルも多く、一筋縄ではいかないものだ。24才で結婚し、28才で離婚を経験した女性セブンの名物記者「オバ記者」こと野原広子さん(64才)が、自身の体験をもとに結婚について考察する。
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私が結婚していたのは24才から28才までで、最初の2年間は夫の両親と同居していたの。その4年間で私が体験したことは思い返しても強烈で、その後、結婚・離婚・再婚・嫁姑のトラブルといった記事を書くのに大いに役立ったのよね。
それ以降、私は再婚の道を探り、集団お見合いやらネット婚活やら、できることは何でもやったけれど、その過程で、私は結婚に不向きな性格だとしみじみ思うことが幾度となくあった。独りの老い支度を始めないと、と思いつつ、93才の母親を自宅里帰り介護している毎日だ。で、コミュニケーション能力はかなり高いと自負している私が、なぜ結婚に向かなかったのか。
40代初め、お見合い相手に言われたの。「なるほどね。オレとの見合いがダメになってもそれはそれで仕事になるわけだ」と。「結婚しようという必死さがない」と言う人もいた。長いこと他人様の結婚トラブルを取材して書いているうちに、私は“結婚見物人”になっていたんだね。
と、まぁそんなわけで、いろいろな経験をしたおかげで、“うまくいかない結婚”が人よりクリアに見えるんだわ。
つまずきの始まりは、新生活にいろんな心の荷物をのせちゃうこと。これ、気づかずにみんなやっているのよ。よく、「結婚して幸せになる」っていうじゃない? 「結婚する」と言うと、お決まりのように「幸せになってね」という言葉がついてくる。
でも、この「幸せ」がクセモノなんだって。幸せになるというからには、独身のいまは不幸または不遇なのよね。最悪な家庭環境とか、恵まれない人間関係とか不本意な仕事とか……。結婚をしたら、それらがみんなチャラ、バンザ~イ、とまでは言わないけど、それに近いことをどこかで期待しているのよね。
長く交際していると相手のことがよくわかっているから離婚率が低いかというと、そんなことはない。だって、自分の都合のいい相手像しか見ていないもの。あ、いや、見ていないというのは当たってないな。みんな相手に期待していいことと悪いことは、なんとなくわかっている。「この箱を開けたらロクなことにならないから閉じておこう」と胸の中に隠しておくパンドラの箱の存在を知っている。