夫と離婚した後、家計の不安を感じる妻は少なくないだろう。特に高齢になると“生活費の柱”である年金がどうなるかが気になるところ。1年ほど前に離婚した50代主婦の前田さんは、いまも悔やんでやまない。
「離婚したら“夫の年金が半分もらえる”と思い込んでいました。ですが、実際はそれほどの額はもらえなかった。もっとよく調べておけばよかったと後悔しています」
前田さんが嘆いたのは、離婚時の「年金分割」だ。離婚した場合、年金は“夫婦の財産”とされ、夫婦で分け合える。その方法は「3号分割」と「合意分割」の2つだ。
「『3号分割』は妻が専業主婦で夫が会社員など、夫婦どちらかが国民年金の第3号被保険者であった場合。請求すれば配偶者の厚生年金の2分の1がもらえます。『合意分割』は夫婦どちらも会社員や公務員の経験がある場合で、夫婦で協議して分割割合を決める必要があります。ただ、揉めたとしても結局2分の1になる場合が多い」(ブレイン社会保険労務士法人の北村庄吾さん・以下同)
重要なのは、ここで指す「年金」が「厚生年金」のみだということ。
「年金分割で単純に“夫の年金が半分もらえる”と誤解している人はすごく多い。ですが、実際はあくまで厚生年金の仕組みであって、国民年金は分割されません。さらに、妻に厚生年金加入期間があると、それも分割対象となる」
前田さんは出産を機に退職するまで、会社員として働いていた。厚生年金加入期間があったことが、前田さんの“計算”を狂わせたのだ。前田さんのような失敗をしないため、「離婚したらいくらもらえるか」は正しく理解しておきたい。そこで夫婦のパターン別に、以下で年金分割をシミュレーションした。