投資情報会社・フィスコが、株式市場の11月8日~11月12日の動きを振り返りつつ、11月15日~11月19日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均はほぼ往って来いの展開。結局週間で1.60円安の29609.97円となった。週前半と後半で動きが一変した。
週初は、米製薬会社ファイザーが開発中の新型コロナウイルス感染症治療の飲み薬について著しい効果が確認されたことや、米議会下院が1兆ドル規模のインフラ法案を可決したことを追い風に、日経平均も上昇スタート。しかし、節目の3万円手前では戻り待ちの売り圧力も強く、朝高後に失速すると結局、104.52円安の29507.05円で終えた。
その後、前の週末に発表された10月米雇用統計が早期の利上げ根拠としては不十分との見方から、債券の売り方の買い戻しが続くなか米10年国債利回りが一段と低下。これが相場のサポート要因となった一方、対ドルでの円高進行が輸出関連株の重しとなり、日本株全体としては影響がニュートラルに。新規材料難のなか、アジア市況や時間外のNYダウ先物の下落に押される展開が続き、9日は大規模な自社株買いによるソフトバンクグループ<9984>の急伸もあったが、日経平均は221.59円安に、10日も178.68円安となり、29106.78円まで下げた。
一方、11日からは戻り局面に。10日の米国市場では、10月消費者物価指数(CPI)が市場予想を大幅に上回る伸びを見せ、インフレや早期利上げへの懸念が再燃。米国債利回りが幅広い年限で大幅に上昇するなか、ハイテク株を中心に下落した。こうした流れから、日経平均は29000円割れが警戒されたが、前日までの下落に伴う値ごろ感もあり、予想に反して朝安後は押し目買いから切り返す展開に、結局171.08円高と5日ぶりに反発した。さらに、週末12日は、MSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)指数構成銘柄見直しの発表やオプション11月物の特別清算指数(SQ)算出といったイベントを通過したことに伴う需給懸念の後退が買いを誘い、332.11円高と大幅に続伸した。
今週の日経平均はもみ合いか。決算発表が一巡し、足元の業績が完全に織り込み切れていない銘柄などへの断続的な物色が続きそうだ。
東京証券取引所が発表する投資主体別売買動向によると、11月第1週(1~5日)、海外投資家は日本株を、現物で3週ぶりに買い越した。しかし、買い越し金額は1300億円程と大きくない。また、先週は決算発表が終盤だったなか東証1部売買代金が減少傾向にあった。恐らく第2週も海外勢は大きくは買い越していないだろう。決算を受けても、海外勢の日本株への投資姿勢が積極的になっていないとなると、今後の日経平均のバブル崩壊後高値の更新は容易ではないと思われる。対して、信託銀行が現物で2200億円程買い越しており、国内の機関投資家は少し動いてきている様子も窺えるが、指数の継続的な上昇にはやはり海外勢の動きが欠かせない。