年齢が増すにつれ、がんや心疾患、脳血管疾患、肺炎などの病気にかかる確率が高くなる。なかでも、がんの確率は抜きん出て高く、死亡率は2位の心疾患の倍近い。
国立がん研究センターが「がんの統計」で算出している2018年データに基づく「日本人が一生のうちにがんと診断される確率」によると、がんになる「生涯確率」は男性65.0%、女性50.2%で、1.8人に1人ががんになるかかる計算だ。一方、がんで死亡する生涯確率(2019年データ)は男性26.7%、女性17.8%と4.5人に1人。がんが治る病気になりつつあるのが見て取れる。
東京都在住でスナックを営む自営業のN実さん(50才)は、この秋、がんが発覚した。
「末っ子の次男も大学を卒業して社会人になり、子育ても一段落。夫と船旅に出ようと計画していた矢先に乳がんが見つかり、入院することに。健康を過信していたせいか、がん保険には入っていませんでした」(N実さん)
年代別のがんにかかる確率が低い時期もあるが、早期に発見すれば治る確率も上がる。日本対がん協会と関連3学会は共同調査で、2020年にがんと診断された人が前年より9.2%に減ったとする結果を発表した。
今後は進行したがんが見つかるケースが増え、深刻な患者の予後の悪化や死亡率の増加が懸念されている。深刻な事態に陥らないよう、検診・受診が極めて重要だ。ニッセイ基礎研究所主席研究員の篠原拓也さんが話す。
「ただ、がんにかかっても健康保険があるので、実はそれほど治療費はかかりません。では、がんになって何に困るかというと、抗がん剤の副作用で働けなくなり、無理ができなくなって収入減になること。がん保険加入後に、がんと診断されれば一時金として100万~300万円が、抗がん剤治療で毎月10万円程度が支払われるため、生活費を補てんできるのが、がん保険の必要性です」
がん保険で気をつけたいのは、がん罹患率が上がる60代後半から保険料も上がること。なるべく早い段階で加入するのがおすすめだ。