各業界がコロナのダメージから少しずつ回復し、日本経済に復活の兆しが見え始めるなかで、投資熱も高まりつつある。では、投資のプロたちはどんな銘柄に注目しているのか。その鍵となるのが、岸田首相が打ち出した「18歳以下の子供1人10万円支給」などを盛り込んだ財政支出55兆円規模の経済対策だ。
別掲表は、「岸田政権が打ち出す経済政策をきっかけに株価上昇が期待できる銘柄」として、投資顧問会社「マーケットバンク」代表の岡山憲史氏、カブ知恵代表の藤井英敏氏の2人の専門家が選んだ一覧だ。
岸田政権は18歳以下の子供や困窮世帯、学生などを対象にした給付金を経済対策の目玉とする。
「実行されれば個人消費の伸び、とくに生活必需品の需要拡大が見込めます。日本マクドナルドホールディングスはコロナ禍でもテイクアウトの販売増で売上を伸ばしましたが、子供や学生の利用者が多いことから、さらなる業績向上、株価上昇が期待できる」(岡山氏)
また、重点政策として打ち出された「子育て世帯への支援策強化」に関連する注目銘柄もある。
「全国の幼稚園・保育園で体育指導を行なっている幼児活動研究会は、苦戦が続いていた業績に回復傾向が顕著になり、2022年3月期は大幅な増収増益が予想されている」(岡山氏)
デジタル技術を通じて地方の活性化を図る「デジタル田園都市構想」は岸田首相の肝煎り政策。11月10日の首相会見でも「交付金を大規模に展開」すると公言している。
「最大の注目は5G(第5世代移動通信システム)関連で、JTOWERはそのど真ん中の企業です。テレビCMでもお馴染みのクラウドサービス『キントーン』を展開するサイボウズにも強い追い風が吹く」(藤井氏)
岸田首相の初外遊となったCOP26ではNGOのネットワーク「CANインターナショナル」から、温暖化対策に消極的だった国に与える不名誉な賞「化石賞」を受賞した日本だけに、今後は「脱炭素」にも力が入る。タカトリは、半導体・液晶パネル業界向け製造装置メーカーで、デジタル田園都市構想関連の銘柄で名前が挙がるが、「電気自動車向けの全固体リチウムバッテリーの開発にも着手しており、クリーンエネルギー関連としても期待される。医療機器分野へも参入し、物色テーマに事欠かない」(岡山氏)という。