ネットワーク格差、恋愛格差も
いま多くの日本人は、自分の人生を攻略不可能なゲーム「無理ゲー」のように感じて絶望している──衝撃の内容で話題を呼んだ『無理ゲー社会』(小学館新書)の著者で、作家の橘玲さんは、都会と田舎の「ネットワーク格差」を指摘する。
「確かに、インターネットの発達によって日本のどこにいても連絡を取り合うことは容易にできるようになりましたが、知り合いを増やしたり人を紹介してもらったりといった人的なネットワークは、直接会うことでしか広がらない。しかし地方に住むとそもそも出会いの機会が少なく、ネットワークが広がりづらいのです」
橘さんが懸念するのはこうした“ネットワーク格差”が子供の人格形成に大きな影響を与えることだ。
「田舎に行くほど同質性が高くなり、同じような趣味嗜好や生活様式を持つことを強制されやすい。地域によっては、男子はヤンキーに、女子はギャルにならなければ生きていけないという話も聞きます。
一方、都会は友達関係ひとつ取っても多様な選択肢があり、さまざまな属性を持つ人とつきあいながら自分のキャラクターに合った進学先や就職先を選ぶこともできる。“弱いつながり”を介して仕事を得るチャンスもあり、経済的にも成功しやすい傾向にあります」(橘さん)
ベストセラーを連発する橘さん自身も、キャリアをスタートさせたきっかけは、浜松(静岡)から上京して都内の大学を卒業後、飲み会で偶然知り合った出版社の人から「うちで編集者を探しているよ」と言われたことだった。人の数だけチャンスが多いのは事実だろう。