小学校入学を控える子どもがいる家庭にとって、一大イベントとなるのがランドセル選び。通称“ラン活”とも言われ、年長の春からリサーチを開始し、夏前にはショップや展示会などで使い勝手を試して予約、ちょうど今頃に自宅に届くというケースも多いようだ。ランドセルは、基本的に6年間使い続けることを視野にいれるものだけに、失敗を避けたいところ。しかし、“ラン活”経験者の声を聞くと、家族・親戚の意向や子供の思いなどが複雑に絡み合う、ランドセル選びの難しさが見えてきた。
どこまで本人の意思を尊重するのか
「小学生の息子の学年が上がっていくにつれて、本人の希望通り好きなものを選ばせてあげれば良かったのではないかと、後悔の念が沸いてきました」
そう言うのは、メーカーで働く40代・女性Aさんだ。長男のランドセル選びに、“大人視点”を入れてしまったことが悔やまれる要因となっているようだ。
「黒以外がいいという本人の希望があったのですが、派手な色だと周りから浮いてしまうだろうし、低学年の時は良くても高学年になったら本人が後悔するのではないかと、あれこれ心配してしまいました。結局、私目線で、落ち着いた焦げ茶、キャメルあたりが飽きない色で無難かなと思ったので、それとなく、『茶色がカッコいいと思うよ』といった誘導をしてしまいました。本人はシルバーや赤と黒のバイカラーなどに興味津々だったのに」(Aさん)
Aさんは長男の時の経験を踏まえて、2つ下の長女の時は、彼女の意思を第一に尊重することにした。
「子どもが納得することが大事かなと。大人から見て派手すぎるとか、飽きるのではということでも、『自分で選んだのだから』という経験があればいいと思いました。娘は今のところ、水色とピンクの配色のランドセルをめちゃくちゃ気に入っているみたいなので、良かったと思っています」(Aさん)