SF映画のように、親が自由に遺伝子を選ぶことがふつうになってしまったら「500万円もかけてお前を買ったのに、どうして東大に入れないんだ!」などと、新たな虐待の火種にもなりかねない。
だが、中塚さんらの調査によれば、中国や韓国などではその傾向が見られる一方で、日本人は幸いにも「提供精子や卵子で優秀な子を持ちたい」という欲求は少ないという。日本で唯一、無償での卵子提供仲介を行う「OD-NET」理事長の岸本佐智子さんが言う。
「実は、卵子提供を受けるかたの多くが最も気にするのは、血液型と“自分に似ているかどうか”なんです。単純に、わが子が自分に似ていればうれしいし、大きくなってから周りに“親に似ていないね”などと言われて、いやな思いをすることも減るからです」
人生の勝者として生まれてくることよりも、親の愛を一身に受けて育つことの方が、ずっと幸せなはずだ。
※女性セブン2021年12月2日号