家族信託は遺言書より強い
もっと自由度の高い財産管理をしたい場合は、「家族信託」がおすすめだ。本人が元気なうちから、家族など信頼できる人に財産の管理を任せることができる。
「任意後見との違いは、株式の売買や資産の組み換え、不動産の活用など、財産を積極的に増やすことも可能です。また、“金融資産は妻に、不動産は長男に”など、資産を特定して誰に管理を任せるかも指定できます」
さらに「自分が亡くなった後は長男から妻に分配し、妻が亡くなったら長女に相続させる」など、先々の相続や贈与に対しても細かく決めておくことができる。相続実務士で夢相続代表の曽根恵子さんが話す。
「遺産の使い道は遺言書の付言事項に書くこともできますが、家族信託と違って、意思表示にはなっても法的効力はありません。また、遺言書は何度でも書き換えられますが、家族信託は一度契約すれば変更はできません」
家族信託を契約したうえで遺言書も残せば、確実に自分の意思のとおりに資産を分配・管理してもらえるだろう。ただし、自由度が高い分、契約にかかる費用はやや割高。財産の総額によって異なり、家一軒で数十万円、財産が多ければ数百万円になる。契約後はお金はかからないが、合計で成年後見人の5~10倍の費用がかかるイメージだ。