市場では、従前より来年2回の利上げを織り込んでいたが、直近のFRB高官の発言を受けて、年3回を織り込みにかかっている。12月14日からのFOMCまでは金融引き締めへの思惑がくすぶり、金利動向に敏感となりそうで、特に相場のけん引役だったハイテク株の動きには留意したい。週末には11月の米雇用統計の発表もあり、12月FOMCの判断材料にもなるだけに、注目され、結果を見極めたいとの思惑が積極的な売買を手控えさせる可能性があろう。
他方、欧州で新型コロナが再流行していることに加え、南アフリカでは新たな変異株が拡大しており、世界的な感染拡大への懸念が強まっている。ワクチン接種の進展や治療薬への期待もあるが、ワクチン接種が進んでいない新興国などで再び感染が拡大すれば、改めて供給網の混乱がリスク要因として浮上してくる。
また、12月3日には2022会計年度の暫定予算が期限を迎える。同日までに本予算か、新たなつなぎ予算を成立させなければ政府閉鎖のリスクが台頭する。さらに、連邦政府の債務上限引き上げについては、すでにイエレン米財務長官が新たな期限が12月15日になる見通しで、それまでに法定上限を引き上げるよう議会に要請している。暫定予算と債務上限を巡る米国の政治情勢も相場の攪乱要因となりそうで、一時的な波乱には注意しておきたい。
週後半12月2日には、OPEC(石油輸出国機構)プラス会合が開催される予定。足元、原油先物価格の上昇は一服しているが、先日の米国や日本、中国などが協調して行った戦略石油備蓄の放出への対抗として、増産の一時停止が打ち出される可能性も指摘されている。関係筋からは今のところそうした協議は行われていないとの報道も伝わっているが、万が一、増産が一時停止となると、原油先物価格が再び大きく上昇し、期待インフレ率の上昇を通じて金利上昇へつながる可能性もあり、リスクシナリオとして注意しておきたい。
一方、先週末のブラックフライデーに続き、週初は米国でのサイバーマンデーがあり、好調な小売りへの期待が相場を下支えする可能性がある。また、米サプライマネジメント協会(ISM)が発表する11月の製造業・非製造業景況指数が週後半にかけて発表される予定で、雇用や供給のひっ迫継続は想定されるものの、引き続き高い水準が予想され、指標結果を受けた景気回復期待が相場の下支え要因として働いてくれる可能性にも期待したい。
そのほか、米国では顧客管理サービスを手掛けるクラウド大手セールスフォース・ドットコムの決算が30日に予定されており、こちらも注目度が高い。足元、ハイテク株は金利動向に神経質な動きとなっているが、同社が予想を上回る強い決算を示すことができれば、ハイテク株の成長期待再燃が再び相場を押し上げる要因となることも予想される。
なお、今週は29日に10月商業動態統計、米サイバーマンデー、30日に10月失業率・有効求人倍率、10月鉱工業生産、10月住宅着工統計、中国11月製造業購買担当者景気指数(PMI)、米9月S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、米11月消費者信頼感指数、米セールスフォース・ドットコム決算、12月1日に7-9月期法人企業統計、11月新車販売台数、中国11月財新製造業PMI、米11月ADP雇用統計、米11月ISM製造業景況指数、米地区連銀経済報告(ベージュブック)、2日にOPECプラス会合、3日に米11月雇用統計、米11月ISM非製造業景況指数、米10月製造業受注などが予定されている。