投資情報会社・フィスコが11月29日~12月3日のドル円相場の見通しを解説する。
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今週のドル円はもみ合いか。米バイデン政権はパウエルFRB議長の再任とブレイナード理事の副議長昇格を決め、議会での手続きを経て正式決定する見通し。金融政策の不透明感は払しょくされ、米連邦準備制度理事会(FRB)による早期利上げの可能性は残されており、リスク選好的なドル買い・円売りがただちに縮小する可能性は低いとみられる。
ただ、心理的節目の115円を一時上抜けたものの、115円台後半では依然として売り圧力は強く、上値の重さが嫌気される場面もあろう。また、欧州地域における新型コロナウイルスの感染再拡大や新たな変異株の出現も警戒されており、株安を嫌気してリスク回避的な円買いが観測されている。さらなる感染拡大によってリスク回避的な為替取引は増加し、主要通貨に対する円買いは継続する可能性があることには注意が必要だろう。
なお、今週発表される11月CB消費者信頼感や11月ISM製造業景況指数、11月雇用統計など有力な経済指標が市場予想を上回った場合、2022年における複数回の利上げ実施を後押しする要因となる。米国経済の持続的な成長への期待は高まり、米長期金利が上昇した場合、リスク回避的な円買いは縮小し、ドル円は下げ渋るとみられる。
【米・11月ISM製造業景況指数】(12月1日)
12月1日発表の米11月ISM製造業景況指数は61.0と、前月の60.8を小幅に上回る見通し。米国経済の好調ぶりが鮮明になれば、FRBの早期引き締め観測につながりやすい。
【米・11月雇用統計】(12月3日)
12月3日発表の米11月雇用統計は非農業部門雇用者数が前月比+50.0万人、失業率は4.5%の見通し。失業率の改善傾向は維持されるものの、雇用者数は一進一退で、FRBの早期利上げ期待は一服となる可能性も。