支出の見直しはどうする?
では、具体的にどこから支出を見直していくのだろうか。風呂内さんは「貯金ができていなければ抜本的に見直す」と話す。
「失業などで一時的に貯金が尽きた場合は、固定費のなかでも削りやすい通信費や保険の内容に問題がないか見直します。通信費は、インターネット接続や携帯電話料金に新プランが出ていないかを確認。スマホの格安SIMも検討します。まったく貯金ができていなかった場合は、さらに住居費や食費などを根本的に見直します」
では、交際費はどうするべきか。
「親族の冠婚葬祭は削れませんが、知り合いのお子さんの入学祝いなど、関係が薄い人は控えめにします。つきあいの飲食代もカット。私自身、独立当初は資格試験の勉強をしていて本当に忙しかったため、多忙を理由に断っていました。頻繁に会っている気心の知れた友人には状況を話して理解してもらっていましたね」
生活を縮小できる人は賢人!恥ではない
とはいえ、50代になって生活を大きく変えるのは大変だ。節約生活を恥に思う人もいるかもしれない。
「その気持ちはよくわかります。私自身も30代で独立した当初、ほぼ無収入で貯金を取り崩す生活に一転し、とてもつらかったですから。でも、“収入が減ったときに支出を抑えられないことこそ、むしろ恥。いま節約している私は賢人なんだ、誇らしいんだ”と自分をほめて、卑屈にならないようにしていました」
冒頭で述べたように、50代は支出が重なる時期。貯金がゼロでも自然なことだし、恥ではない。生活をコンパクトにすることは未来をつくるための前向き、かつ必要な取り組みなのだと考え、いまからできることを行うことこそ、賢い選択だといえる。
【プロフィール】
風呂内亜矢さん/ファイナンシャルプランナー。マンション販売会社勤務を経て、2013年、ファイナンシャルプランナーとして独立。新著は『「定年」からでも間に合う老後の資産運用』(講談社)。
取材・文/桜田容子
※女性セブン2021年12月9日号