新型コロナウイルスの新規感染者が激減し、日本経済が復活に向けて再始動したタイミングで新たな変異株「オミクロン株」が上陸してきた。年末商戦や忘年会シーズン、帰省ラッシュによる需要回復を期待していた小売り、飲食、航空・鉄道各社は「またか」の衝撃を受けている。
長い自粛から解放された国民にとっても、石油高騰による物価高とオミクロンのダブルパンチだ。
だが、悲観的になる必要はない。日本経済にとってこのピンチはむしろチャンスといえる。投資顧問「マーケットバンク」代表の岡山憲史氏が指摘する。
「日本政府の今までにない迅速な対応は評価できます。オミクロン株が発見されると即、外国人の入国を全面禁止し、感染者と同じ飛行機に乗っていた乗客全員をPCR検査が陰性でも濃厚接触者に指定して宿泊療養施設に収容する措置を取った。
菅前政権は経済への影響を心配するあまりデルタ株への対応が後手後手になり、緊急事態宣言も遅れて感染拡大を招き、経済停滞が長引いた。今回のように政府が最初に感染をぐっと抑える措置を取った方が、感染のピークを抑えられるし、結果的に経済への影響も小さくなる」
日本はコロナ対応に失敗して経済回復が世界から周回遅れとなったが、いち早く回復した各国が感染再拡大に苦しむ中で、いまや世界で際立って感染者が少ない。
保健所や医療体制の面でも、他国に比べて新変異種の感染者発見や感染拡大を抑え込みやすい状況にあるといえる。市場の変動も一時的なものだという。
「オミクロン株で世界の株価は急落したが、このところの株価上昇でCTA(商品投資顧問業)が売りのタイミングを探っていたところに新変異株という材料が出て、コンピュータによる自動売買でどんどん売られたのが原因です。じきに株価は元に戻り、一時的に下がった石油価格も高値に戻るでしょう」(岡山氏)