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「令和のオイルショック」は日本経済復活への好機 賃上げで“良いインフレ”もあるか

米国とは異なる“良いインフレ”

 そして経済復活の大きなカードが「賃上げ」だ。「令和の所得倍増」を掲げる岸田首相は経済界に「3%賃上げ」を要請し、12月の税制改正で賃上げした企業への法人税減税を盛り込む方針だ。

 もちろん、総理の賃上げ要請がそのまま実行されたことはこれまでない。相澤氏の見方だ。

「米国ではコロナからの経済回復と同時に人手不足が深刻化し、労働者の賃金が上昇。企業は人件費がかさんで商品価格に転嫁し、物価が跳ね上がって労働者はさらなる賃上げを求めている。原油高の中、人件費上昇はコストプッシュインフレという“悪いインフレ”を招いている。

 しかし、日本の場合は首相が賃上げを求めても、企業は一時金は増やしてもベアには慎重です。3%の賃上げは難しいでしょう」

 だが、そのことが日本経済にはプラスに働くという。

「日本は米国と違って物価上昇は限定的です。日本人はまだまだ消費したくて仕方がないという状況までには至っていない。だから日本企業は賃上げをある程度抑制しながら、為替が円安基調の今が利益をあげるチャンス。そうして業績がしっかり上がってから賃金に反映させる。これは米国のような悪いインフレではなく、需要に基づく“良いインフレ”をもたらします。

 このような形で景気拡大していくのが理想的な経済の好循環であり、石油高騰下の物価安定という日本の特殊な状況が、それを可能にしている」(同前)

「令和のオイルショック」も、絶好機に変えることができる。世界で最も有利な経済状況にある日本のポジションを知れば、ショックは怖くない。

※週刊ポスト2021年12月17日号

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