2022年以降は、お金にまつわる制度変更が目白押し。中でも、年金に関する制度変更は働く人にとっては朗報となる面もあるかもしれない。まず「厚生年金の適用拡大」がある。これまで、パートやアルバイトで厚生年金に入れるのは「従業員501人以上の企業」などの条件があったが、この間口が広げられて、厚生年金に入りやすくなったのだ。「年金博士」ことブレイン社会保険労務士法人の北村庄吾さんが言う。
「2022年10月から101人以上、2024年10月から51人以上と、段階的に基準が引き下げられ、中小企業のパートやアルバイトでも厚生年金に加入できるようになります」
小さな会社で「どうせ厚生年金に入れないから」と、あえて勤務時間を短くしていた人も、「週20時間以上勤務で月給8万8000円以上、2か月を超えて働く」という条件を満たせば、年金額を増やすことができる。
「もちろん、40代までの若い世代が受給を開始する頃には、年金制度自体がどうなっているか、見通しがつきません。一方で、年金を受け取る時期が近い50代以上なら、いまからでも厚生年金に加入して、受給額を増やすことができるでしょう」(北村さん・以下同)
すでに受給開始が近い人は、いつから年金を受け取るか、あらためて検討し直してほしい。というのも、4月からは年金の受給を遅らせる「繰り下げ」ができる年齢が、70才から75才に変わるからだ。年金の受給開始年齢は原則65才だが、これを遅らせれば遅らせるほど、受け取れる年金額が増えていく仕組みになっている。これを75才まで繰り下げると、なんと184%に増えるのだ。
「満額の基礎年金(月々12万円弱)に厚生年金もプラスされると想定すると、夫婦で月々40万5000円ほどもらえることになります」