繰り上げ受給の減額率は0.5%から0.4%に
ただし、繰り下げれば繰り下げるほど、年金を受け取れる期間は当然短くなる。現在、日本人の平均寿命は女性が87.74才、男性が81.64才と年々延びているが、重要なのは、本当にお金が必要になるタイミングだ。
「75才を過ぎると、健康なままでいられる人はどうしても少なくなります。そこまで待って年金を増やしても、満足にお金を使えなくなるかもしれない。自立して生活できる健康寿命を目安に決めた方がいいでしょう」
一方、受給開始を早める「繰り上げ」を選ぶと、年金額は減額され、年金を受け取れる期間が長くなる。
これまで、受給を早くすると、受け取れる金額は月々0.5%減額されていた。ところが、2022年4月からは、減額率が0.4%になる。つまり、いままでは5年早めて60才から受給開始にすると受給額が30%減だったのが、24%減に抑えられるのだ。
北村さんは、夫婦で繰り下げと繰り上げを組み合わせるのが賢いやり方だと話す。
「受給開始年齢を夫婦一緒にする必要はないので、“働いている夫は繰り上げ、妻は繰り下げ”など、年齢や健康状態に合わせてバランスを取るといいでしょう。夫の方が年上なら、なおのこと繰り上げておいた方がいい。女性の方が平均寿命は長いので、夫は64才くらい、妻は67才くらいが妥当かと思います。また、“自分たちの家系が長生きしやすいかそうでないか”は、わかりやすい判断基準です。いずれにしろ、健康寿命や家計の状況を考えて、夫婦で計画してほしい」
大切な老後資金だからこそ、制度変更を前にしっかり考えておきたい。
※女性セブン2021年12月16日号