働き方改革の一環として「ワーケーション」という言葉が注目されている。これは「Work(ワーク)」と「Vacation(バケーション)」の造語で、普段は都会で仕事している人が、観光地や地方都市に行ってテレワークを活用し、働きながら休暇の楽しむというスタイルだ。その一方、普段は地方都市に住んでそこでのんびり仕事をしながら、時々、都会に出張に行く働き方は「逆ワーケーション」とでも呼べようか。佐賀県唐津市に移住したネットニュース編集者の中川淳一郎氏が、自ら実践する働き方のメリットについてレポートする。
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私は現在、佐賀県唐津市に住んでいますが、月に1回、『ABEMA Prime』(ABEMA)という報道番組に出演するため、東京に“出稼ぎ”に行っています。元々は東京で暮らしていたため、この出稼ぎの時は古くからの知人と会うことも多いですし、いくつかの打ち合わせも行うため3泊4日か4泊5日するのが慣例となっています。
これがかなり理想的な働き方になっているな、と日々感じています。私は東京で「やり切った」という感覚を得たため、昨年、唐津に移り住みました。仕事は大幅に減らし、今ではリモートでできる原稿執筆が仕事の中心のため、昨年までのように、頻繁に打ち合わせをしたり、どこかの会社に通う必要もありません。
とはいっても、ずーっと同じ場所にいるとメリハリがないんですよ、コレが……。唐津という街はコンパクトシティで、すべてが揃っていて本当に過ごしやすいです。だからこそ不便さは感じないものの、時には別の場所に行きたいな、と思うこともある。そんな時に月1回の東京出稼ぎは、気分をリフレッシュする機会になっているのです。
月に1回のため、「浦島太郎」のような状態にはならないですが、毎度ダイナミックに動く東京という街は、やはり魅力的だと思います。銀座・六本木・渋谷・神保町・中野・新宿など個々の街に個性があり、食も世界最高峰のものが揃っている。
時々そうした環境に身を置くことで、新たに仕事を獲得することもありますし、突然、書籍出版の依頼を受けたりもする。だから自分にとって月1回の東京出稼ぎは「逆ワーケーション」として非常に重要です。
私の場合、唐津で日々のんびり過ごしている状態が「日常」で、東京に行った時にキリキリするような仕事をするのが「非日常」。多くの人が都会でキリキリと日常的に働く中、のんびりとした非日常を求め地方に行くのが「ワーケーション」です。