早くも師走。まもなく、コロナ禍中における2度目の年越しを迎える。現在は国内の感染状況が落ち着いていることもあってか、ウイルスに右往左往させられていた2020年と比べると、国民の消費意欲は旺盛のようだ。
2021年、私たちのライフスタイルはどう変化したか──それは、「売れたもの」が教えてくれる。消費者経済総研チーフ・コンサルタントの松田優幸さんが2021年を振り返る。
「2021年を総括するなら“ラク活(楽活)”の一年だったといえるでしょう。つまり“楽をすること”と“楽しむこと”が重視されました。
長らく、苦労することが美徳とされてきた日本社会ですが、それが2021年はより強く疑問視されるようになった。出勤やつきあいの飲み会、ハンコなどは、コロナ禍もあいまって、不必要だったと気づかされた。街に出ている人の中では、ハイヒールの女性やスーツ姿のサラリーマンの割合は明らかに減り、代わりにスニーカーで仕事に向かう女性が増え、カジュアルな服装で客先に出向くのも許容されるようになった。2021年のヒット商品は、こうした“価値観の変化”に対応したものが多い」
コロナ禍2年目に売れたものにも、ストーリーがある。
12月2日に発表された「Z世代トレンドアワード2021」では、メダラー社の「地球グミ」が年間トレンド大賞に輝いた。食べると舌が青くなる球体のグミは、個包装のパッケージをパキッと音を立てながら噛んで開封する動画をTikTokに投稿するのが爆発的に流行した。トレンドウオッチャーのくどうみやこさんが言う。
「以前は、TikTokに投稿されるのはダンス動画などが中心でした。しかし、コロナ禍の影響で商品レビュー動画が増え、静止画でのインスタ映えではなく、動画での“TikTok映え”が重視されるようになったのです。TikTokで紹介されたものが急激に売り上げを伸ばす“TikTok売れ”という現象も話題になりました」