以下、不動産広告例で重要となる8つのポイント(別掲広告例の【1】~【8】)を解説する。
【1】写真
不動産広告には、原則として販売する建物・部屋の写真を使わなければならない。完成前の新築物件の場合は、実際に販売する建物と同形状の建物の写真があれば、その旨を明らかにして使用できる。
【2】アピールポイント
不動産広告の多くは、物件名や写真付近の目に付く場所には、大きな文字でアピールポイント(至便性、日当たり、間取りの広さ、設備の充実さ、管理状況など)を列記している。
【3】価格
販売価格は総額表示になるため、売主が法人で消費税課税事業者の場合は税込価格となる(事業者でない個人が売主の場合、消費税はかからない)。管理費、修繕積立金など必須でかかるものは別途記載が必要。
【4】所要時間
1分80mを基準として算出(待ち時間は算定外)。これは、不動産公正取引協議会が運用する「不動産の表示に関する公正競争規約」に定められており、一般女性が中ヒール程度の靴で歩いたスピードを想定している。距離は、地図上の道路距離で算定されているため、坂道、階段等は考慮されない。
【5】専有面積
専有とは、自分のものになる部分で、建築基準法に沿った壁芯面積で表示される。壁芯は、壁(の厚さ)の中心線を指す。「内見で実測した寸法と違う!」のは当然なのだ。バルコニーがある場合は、その面積は別途記載する。
【6】間取り
広告では、1DK(ダイニングキッチン+寝室1つ)の場合、DKは4.5畳、LDKなら8畳以上ないとDK、LDKの広さの目安を満たさないため、記載できない(2DKの場合、DKは6畳、LDKは10畳以上)。畳数の基準は、共通で1畳あたり1.62平米で算出する。基準より小さい畳が8枚敷いてあっても、広告で8畳と記載してはダメ。
【7】取引態様
広告主が売主(貸主)か、代理か、または媒介(仲介)なのかが表示される。広告主が売主の場合は、買主と直接契約ができるが、媒介(仲介)の場合、物件成約時に仲介手数料(取引価格の3%+6万円+消費税)を、販売価格とは別途支払うことになる。仲介手数料がかかる旨の記載がなくても広告違反にはならない。
【8】免許番号
広告主が不動産業を営む際に必要な免許。( )内は免許の更新回数を表す。免許は5年ごとの更新になるので、5年未満の業者は(1)となり、以後5年ごとに1つずつ足されていく。数字が多いほど営業年数が長いことを示す。
【教えてくれたのは…】
公益社団法人首都圏不土さん公正取引協議会/不動産業者、広告会社、消費者からの不動産広告の相談対応と、広告の内容が正しいかどうかを点検調査する業界の自主規制団体。加盟事業者数は関東甲信越(1都9県)に所在する約5万社。
※女性セブン2022年1月1日号