2021年もあとわずか。すでに年末年始の予定を立てている人も多いだろう。しかし、オミクロン株の登場でその計画も怪しい雰囲気に。このまま旅行や帰省の計画を進めるべきか、悩ましいところだ。
南アフリカでオミクロン株の感染が確認されると、岸田文雄首相(64才)はさっそく、11月30日から全世界を対象に「外国人入国禁止措置」を取ると発表。11月29日には、国土交通省が航空会社に、日本着の全国際線について12月末まで「新規予約を停止」するよう要請した。
これまでにない迅速かつ厳しい対応だが、12月2日、政府は国際線の新規予約停止の要請を撤回し、岸田首相は「国交省に邦人の帰国需要について充分配慮するよう指示した」と説明した。首相は「一部のかたに混乱を招いてしまった」と釈明しており、オミクロン株に対して右往左往しているような印象だ。
「これまでは“緊急事態宣言の発出が遅すぎた”など、対応の遅れや対策の中途半端さが国民の不信を招いた。そうした批判を浴びないよう先手を打とうとするあまり、焦っているというか、拙速になっているとの指摘がある」(永田町関係者)
WHO(世界保健機関)も、日本が取った入国禁止措置について「理解困難」「ウイルスは国籍や滞在許可証を見るわけではない」と批判した。だが、血液内科医の中村幸嗣さんは政府の対応にこう理解を示す。
「疫学として危機管理を考えると、最も迅速な対応だった。ただ、航空券の予約を停止したことに関しては、邦人が帰国できなくなり、国民を見捨てる形になってしまった。外務大臣経験者の岸田首相が“これではまずい”と気づき、トップダウンで取り消したのではないでしょうか」
今後、国内でオミクロン株による感染者の再拡大などが起これば、政府は海外だけでなく、国内に関しても厳しい措置を取る可能性は高い。
「ただし、過去の経験から“全国一律”の対策は講じないと思います。感染拡大の状況は都市部とそれ以外では大きく異なる。経済的なダメージを軽減するためにも、地域の状況に応じた“局地的ロックダウン”にとどまるのではないでしょうか」(前出・永田町関係者)