「近所から白い目で見られるからと、親の方から帰省するなと言ってきた」(50代女性)というケースもあった。だが、いまは感染者数も激減し、当時とは雰囲気が違う。ファイナンシャルプランナーの丸山晴美さんが言う。
「少ない感染者数を維持しているなか、政府はオミクロン株で感染者が急激に増えるのを嫌ったため、すぐに厳しい水際対策を取ったのでしょう。つまり、政府にはこの年末年始の“国内需要を落としたくない”という狙いがあったと思います。なので、オミクロン株の感染者数が急激に増えない限り、政府が年末年始の国内旅行を厳しく制限することはないと思われます。現状、感染者数が少ない状態が維持されていて、国民感情的にも“ウィズコロナ”に傾いている。帰省や旅行をしても問題ないと思います」
「Go Toトラベル」は一時停止されており、再開は2022年1月下旬以降になる見通しだが、この秋から東京都を除く46道府県で実施されている「県民割」はいまだ健在だ。
住んでいる道府県内を旅行する際、1人1泊あたり最大5000円が宿泊費から割引され、ほかにも土産店や飲食店などで使える2000円分のクーポンがもらえる。例えば旅行代金が1万円なら実質7000円分お得になるのだ。しかも、自治体によっては隣県との相互利用も検討され、12月末に終了予定だったのが延長されるところもある。
飲食業界を助けるために始まった「Go Toイート」もまだ利用できる。都道府県単位で発行される、購入代金に25%(一部自治体は20%)分のプレミアムが上乗せされた「プレミアム付食事券」も、販売を再開する自治体が増えてきている。お得に国内旅行や食事を楽しむなら、いまがチャンスということだ。
一方、海外旅行は要注意。オミクロン株をめぐって、世界各地で厳しい状況にもなっている。トラベルライターのSHIORIさんが説明する。
「私の友人がモロッコに行きましたが、オミクロン株の発生でモロッコが鎖国状態になり、出国できなくなっています。いまでも日本からの出国は可能ですが、感染状況によって行き先の国の入出国基準が変化するので、先行きは不透明です。
入出国の手続きに時間がかかるうえ、待機期間が長引けばさらに滞在費用が大幅にかさみます。もし帰国できない状況になれば仕事への影響も避けられない。リスクを考えると年末年始の海外旅行はおすすめできません」