投資情報会社・フィスコが、株式市場の12月6日~12月10日の動きを振り返りつつ、12月13日~12月17日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は週間で408.20円高(+1.45%)と3週ぶりの反発。週末の先物・オプション12月物の特別清算指数算出(メジャーSQ)を前にした買い戻しで貯めた週前半の貯金が残った。
週明け6日の日経平均は102.20円安と反落。11月の米雇用統計で雇用者数の伸びが予想の半分にとどまり失望感を誘った一方、連邦準備制度理事会(FRB)による金融緩和縮小の軌道に変わりはないとの見方からハイテク株中心に売られた米株市場を引き継いで売りが先行した。
7日は一転して日経平均は528.23円高と大幅反発。国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長が新型コロナウイルス変異株「オミクロン型」について「重症化の度合いはそれほど高くないようだ」などと発言したことで懸念が和らいだ。また、直近の下落が目立っていた中国テック株が中国人民銀行(中央銀行)の預金準備率引き下げなどを好感して急反発。11月の中国貿易統計が市場予想を上振れたことが一段と中国経済の底打ち感を強めると、週末のメジャーSQを前にした買い戻しが進み、需給要因で終日買い優勢となった。
8日も日経平均は405.02円高と大幅に続伸。英グラクソ・スミスクラインなどが開発中の新型コロナワクチン候補が複数の変異株に対して有効性を示したとの報道を好感。金利動向の安定を背景にナスダック総合指数が大幅高となったこともあり、半導体関連株などハイテク株中心に買いが入った。
ただ、週後半からはメジャーSQに向けた買い戻しが一巡するなか騰勢一服。日経平均は200日移動平均線や心理的な節目の29000円を手前にした上値の重さも目立ち、伸び悩む展開に。週末には、翌週の米連邦公開市場委員会(FOMC)を前にした11月の米消費者物価指数(CPI)の発表に対する警戒感から、ハイテクやグロース(成長)株に持ち高調整の売りが広がった。9日、10日の日経平均は135.15円、287.70円とそれぞれ下落した。
今週の日経平均は神経質な展開か。14日からのFOMCが最大の注目イベント。内容次第で年末に向けた基調が決まりそうで、動きが激しくなりそうだ。
新型コロナ変異株「オミクロン型」に対する懸念は完全に払しょくされたとはいえないが、大きく後退した。国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長の発言に加え、米製薬大手ファイザーなどが開発した新型コロナワクチンが、3回接種でオミクロン型にも効力があるとの暫定的な試験結果も公表された。オミクロン株に対する脅威が後退したことで、市場の関心は再びFRBの金融引き締めに向かっている。
FOMCでは量的緩和縮小(テーパリング)のペースが引き上げられ、来年3月にはテーパリングが完了することが大勢の見方ではあるが、金利先物市場では更に6月までに1回の利上げ、年末までには合計3回の利上げを織り込んでいる。株式市場でもテーパリング加速の決定は相当に織り込んでいると思われるが、利上げペースに対してはどこまで織り込んでいるかは不透明。