にもかかわらず、使えないマイナンバーカードに固執し、お金をバラ撒いてでも普及させようとしているのは愚の骨頂だ。政府は子供の貧困や虐待を防ぐため、家庭の経済状況や子供の学力などの情報を一元化するDBを構築する方針だと報じられたが、それも含めた生体認証付きの国民DBを作ればよいだけの話である。
土台が崩れているマイナンバー制度を存続させてサービスメニューだけを積み上げていっても、どこかで“ご破算”になることは目に見えている。それがわからない政治家がお金で釣って利用者を増やすのは、税金の無駄遣いも甚だしい。
【プロフィール】
大前研一(おおまえ・けんいち)/1943年生まれ。マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社長、本社ディレクター等を経て、1994年退社。現在、ビジネス・ブレークスルー代表取締役会長、ビジネス・ブレークスルー大学学長などを務める。最新刊『日本の論点2022~23』(プレジデント社)。ほかに小学館新書『稼ぎ続ける力 「定年消滅」時代の新しい仕事論』等、著書多数。
※週刊ポスト2022年1月1・7日号