資料作成ツールの大定番で、表やグラフ作成をはじめ業務の効率化に一役買う表計算ソフト「Excel(エクセル)」。便利なツールではあるが、多くの個人や企業が利用するだけに、その“リテラシー”もさまざま。それゆえ、思わぬトラブルも発生するようだ。
「何でもExcelで作りたがる人がいる」とぼやくのは、メーカーに勤務する30代男性・Aさんだ。文章だけの資料でもExcelを使う同僚に驚きを隠せない。
「イエス・ノーを尋ね、場合によっては文章を記入するようなシンプルなアンケート資料まで、Excelで作る同僚がいました。文章を入力してもらうならWordでいいのではと思ったのが、正直な感想です。Excelで資料を作ることにより、何かデータを集計しやすくするのかなと思って見ていたんですけど、そういう作りでもない。不思議に思って、なぜExcelで作るのか聞いたところ、『何行にもわたる文書では、縦のラインを揃えやすい』といった回答でした」(Aさん)
Aさんが、Excelの資料で「どうしても許せない」と言うのは、罫線とセルの結合を多用した「Excel方眼紙」といわれる資料だという。
「会社のある申請書類が、まさにそれなんです。昔は、自分の名前やふりがなを1セルにつき1文字ずつ文字を入力しなくてならないものでした。入力してセルを移動させ、入力してセルを移動させ……と、恐ろしく手間がかかっていたものが、リニューアルされたというので『やっとあの地獄の入力から開放される』と期待して見てみると、入力セルが結合されまくっていました。『結合のテクニックを使えば、1文字ごとにセル移動させなくていい』というわけです。
確かに書式としての見た目はいいし、1文字入力はなくなったのですが、入力セルのタテやヨコの位置設定がなされておらず、何行にもわたって結合されたセルに入力した文字が下揃えになってしまって気持ち悪い事態に……。自分で直しましたけどね。ちなみにこの書類は、入力後、印刷して印鑑を押して提出しなくてはいけません。どうせ印刷するならもはや手書きのほうが早い気もしてきますが、Excelの書類は、印刷位置がずれがちなのもストレスでした」(Aさん)