「Excel方眼紙」で入力されたものの場合、データをCSVで抜き出すのも難しく、再利用がしにくいという問題もある。公的機関でも使われている事例も多かったため、総務省は2020年12月に「統計表における機械判読可能なデータの表記方法」の統一ルールを策定、統計表を作成する際には「1セル1データとなっているか」「セルの結合をしていないか」などのチェック項目も示され、「脱・Excel方眼紙」の動きを進めている。だが、ビジネスの現場ではまだそこから脱却できないケースもあるようだ。
ちなみにAさんの知り合いで、日本人と仕事で関わるアメリカ人男性・Bさんとタイ人女性・Cさんからは、Excelについてこんな話をされたことがあった。
「2人とも、“日本人のExcel好き”にびっくりしたと言っていました。Bさんからは、『あの資料作りに一体どれだけの時間がかかっているんだい?』と聞かれて、なんとも答えようがありませんでした。Cさんは、日本人がExcelで巧みなワザを繰り出せるのは、几帳面な職人気質が影響しているのかもしれないなどと真剣に考察していて、思わず笑ってしまいました(笑)」(Aさん)
セルの幅や高さまで0.1単位で指定
商社に勤務する20代女性・Dさんは、Excelの資料作成の仕上がりにこだわる50代上司の細かい指示がストレスで、会社に行くのが嫌になった経験を明かす。
「Excelの文字フォント、大きさを指定されるのはまだわかります。でも、セルの幅や高さまで0.1単位で指定されて、少しでもずれると呼び出しをくらってネチネチ説教されました……。しかも、その指示が二転三転することもあって、『やっぱり前の方がいいね』『俺は色はこっちの方が見やすいと思うけどね』などと、謎のこだわりを連発されたんです」(Dさん)
Dさんは、上司からダメ出しをくらう度に「知るか! 中身は問題ないんだし、データで送ってるんだから、自分で修正してくれ!」と心で叫んでいたが、その上司はメールでも「資料ひとつ一発で作れないの?」といった嫌味を送ってくるようになった。そしてそのうちDさんは、だんだん「これを提出しても、また何か言われる」という恐怖から、上司とやり取りをするのが苦痛になり、しまいには「上司や資料のことを考えると蕁麻疹が出るようになり、朝起き上がれない。会社に行けなくなりました」と振り返る。
「そんな細かい指示出しをすることが彼の“仕事”で、私より随分高い給料をもらってるんだろうと思うと、マジで萎えます。仕事内容は好きなのに、Excelのせいで転職を考えるほどです」(Dさん)