吉田みく「誰にだって言い分があります」

「仕事が暇になると怖い…」空白恐怖症の人たちが抱える悩みと脱却への苦闘

「同僚が仕事をしていると落ち着かない」

 都内在住の会社員、テルキさん(仮名・36歳)は、仕事のスケジュールが空いてしまうことに強い恐怖感があることを話してくれた。

「私は大手企業に勤めており、給料も十分なくらい頂いています。仕事もそこそこ忙しいのですが、たまに仕事が暇になってしまうことが怖くて仕方がないんです」(テルキさん、以下同)

 テルキさんの話によると、繁忙期と閑散期の波がある仕事とのこと。閑散期に同僚が仕事をしている姿を見ると、一歩リードされている気がして落ち着かないという。一時期は同僚の仕事を手伝って気を紛らわせたこともあったが、自分の成果に繋がらないと思い始め、やめたという。

「そこで考えたのが自分自身のスキル向上でした。スキルアップに繋がる書籍を読んだり、会社帰りにセミナーへ参加するなどしました。知識が深まるだけでなく、同じ志を持つ仲間と出会えたのも最高だと思っていたのですが……」

 セミナーで知り合った男性と意気投合したテルキさんは、空いているスケジュールをほぼ男性との食事会に充てたそうだ。最初は色々な話で盛り上がり、「最高の友人ができた」とまで思っていたものの、会話の内容は、徐々に新規ビジネス立ち上げへの誘いに変わっていったという。そもそも会社を辞めるつもりがなかったテルキさんは、その話を断ることに。その後は連絡が途絶えてしまったそうだ。

「この件をきっかけに自分自身を見つめなおしました。そこで分かったのは、人に会って充実した気分になっていただけで、結果何も得るものはなかったこと。今もやることがなくなってしまうと不安で仕方がないですが、焦りすぎも良くないと思い、ゆっくりする時間も大切にするようになりました」

 最近の趣味は食べ歩き。その日の気分でSNSで気になった飲食店へ一人で足を運び、美味しいものを食べているという。その甲斐もあり、普段の会話の幅を広げることができたそうだ。

 スケジュールが空いてしまうことに不安を感じる気持ちは分からなくもないが、たまには何もしない日を作って、のんびりと一人で過ごしてみるのも一つの手である。今まで見えなかった、新しい発見があるかもしれない。

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