よく褒められる2万円の時計
オーデマ・ピゲの時計の購入を機に、Nさんは世界三大時計ブランドであるパテック・フィリップやオーデマ・ピゲ、ヴァシュロン・コンスタンタンなどに興味を持ち、一通り気になる時計は全て注文したという。ただその一方で、「時計は高ければ良いものではない」とも語る。
「時計はファッションの重要なアイテムなので、高額なものだけに価値があるというわけではありません。もちろん高級時計は値段相応の魅力がありますが、数万円の時計でも、気分を上げてくれる良い時計は沢山あります。
実際私は、アメリカの時計メーカー、タイメックスの『ウォーターベリー レガシー』を2万円ほどで購入し気に入ってよく付けていますが、色が綺麗なので2000万円の時計よりも褒められることが多いほどでした。文字盤の色がティファニーブルーのような落ち着いたスカイブルーで、お洒落でスーツにも映えます。あまりに気に入り過ぎて、色違いのイエローまで買ってしまいました。
その他、20万円ほどで買ったドイツの時計メーカー、ヴァルドホフのトゥールビヨンもよく褒められます。腕時計の三大複雑機構の1つであるトゥールビヨンは、オーデマ・ピゲなどの高級時計メーカーではトゥールビヨンが付くだけでまず1000万円は超えますが、ヴァルドホフのトゥールビヨンなら10万円台で購入出来ます」
高級時計と比べて手に入りやすいのも、安価な時計のメリットだという。
「世界三大時計ブランドの人気機種は、購入した履歴がある人が優先的に買えるようになっているので、相当の金額の時計を過去に購入していないと一見さんは予約することすら難しい状況です。仮に予約出来ても数年待ちということはザラにあります。一方で、比較的安価な時計は欲しいと思った時に手に入りますし、ヴァルドホフのトゥールビヨンのように、モノの価値さえ分かって入れば、むしろコスパも良いと言えるのではないでしょうか」
Nさんは、「高級時計を身に付けていても、時計好きにしかその価値が分からないことも多いため、人にどう見られたいかというより自分のために購入している」と話す。時計を身に付けることでステイタスが満たされると感じる人も多いだろうが、自分が身に付けていて心が躍るか、服を着替えるようにファッションの一部として楽しめるかが、時計を身に付ける意義のひとつなのかもしれない。