また、オミクロン株についても依然注意は必要だ。南アフリカの国立伝染病研究所や英国の保健安全庁などは、オミクロン株の入院リスクは他の変異株に比べて5~8割低いとの調査結果を報告。また、米国ではFDAが製薬会社ファイザーやメルクの新型コロナ経口薬の緊急使用を承認した。これにより、オミクロン株に対する警戒感は大きく後退した。しかし、感染率はデルタ株を超える高さで、英国や米国では1日当たりの新規感染者数が過去最多を記録している。感染者数が爆発的に増えれば、入院患者の絶対数も増えるため、医療機関の逼迫やこれを防ぐための行動規制強化といったリスクは残る。長らく世界に誇れる低水準の新規感染者数を保ってきた日本でも、京都での市中感染が報告されており、今後、欧米に遅れてオミクロン株感染が急拡大することが警戒される。その場合は、日本株を敬遠する要因ともなりかねないだろう。
さらに、来週は米サプライマネジメント協会(ISM)が公表する景況指数のほか、週末には米雇用統計など各国で注目度の高い経済指標が発表予定だ。ISMなどは構成項目の内容次第では、世界的な供給網混乱やインフレの長期化などのリスクが再び意識される場面もありそうで注意したい。
その他、年末は国内では決算発表があり、しまむら<8227>、アダストリア<2685>、Jフロント<3086>など小売企業を中心に予定されている。特に注目したいのはマルマエ<6264>。半導体・FPD製造装置の真空パーツを手掛かける同社は注目度の高い半導体関連株決算の前哨戦とも捉えられる。足元、東エレク<8035>やレーザーテック<6920>が上場来高値を更新するなど、関連株の騰勢はとどまることなく強い動きを見せている。マルマエも上場来高値を窺う位置にあり、決算内容はもちろんだが、株価反応が注目される。株価が上場来高値付近にあるなかでも好決算を素直に評価する動きとなれば、投資家心理は一段と明るくなるだろう。
なお、今週及び来週は27日に日銀金融政策決定会合の「主な意見」(12月開催分)、11月商業動態統計、28日に11月完全失業率、11月有効求人倍率、11月鉱工業生産、米10月S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、29日に米11月NAR仮契約住宅販売指数、31日に中国12月製造業PMI、1月3日にユーロ圏12月製造業PMI、4日に中国12月財新製造業PMI、米12月ISM製造業景況指数、5日に米12月ADP全米雇用リポート、6日に米12月ISM非製造業景況指数、7日に11月家計調査、米12月雇用統計などが発表予定。