投資情報会社・フィスコが、株式市場の12月20日~12月24日の動きを振り返りつつ、12月27日~1月7日の相場見通しを解説する。
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先週の日経平均は週間で236.91円高(+0.83%)と3週続伸し、週足ローソク足では陽線引けとなった。週初は、新型コロナウイルス変異株「オミクロン型」感染の世界的な急拡大や、株価指数の先物やオプションなどの取引期限が重なるクアドラプル・ウィッチングによるテクニカル要因が重しとなり、大きく下落した前の週末の米株市場を受け、日経平均も607.87円安と大幅安となった。
しかし、前の週末と合わせて2日間で1100円超も下落していただけに、翌日は一転して押し目買いが優勢となり、21日の日経平均は579.78円高と大幅に反発。その後は、海外勢のクリスマス休暇入りによる取引参加者の減少などを背景に、全般薄商いが続いた。そうした中でも、オミクロン株の入院リスクは低いとする複数の調査結果や、米食品医薬品局(FDA)が製薬会社ファイザーやメルクの新型コロナ経口薬の緊急使用を承認したことから警戒感が大きく後退。外部環境が好転するなか売り方の買い戻しが進展し、日経平均は22、23日と上昇し3日続伸。週末24日は一段と商いが低調となるなか、前日終値近辺でのもみ合いが続いた結果、15.78円安とほぼ変わらずで終えたが、日経平均は29000円を視野に入れ、「掉尾の一振」の期待をつなぐ形で終えた。
今週、来週の日経平均は堅調な年末を迎えた後、年始は神経質な展開か。今週は今年最後の週となり、立会いは4営業日に限られる。派手な動きは期待できずとも小ぶりながら掉尾の一振に期待したい。
年末年始を前に多くの機関投資家は既に休暇に入っていると思われ、クリスマス休暇明けでも取引に戻ってくる海外組は限られるだろう。そのため、引き続き売買高は膨らみにくいだろうが、薄商いのなか掉尾の一振に期待した個人投資家の買いや、パフォーマンスの引き上げを狙ったファンドの運用機関によるドレッシング買い(お化粧買い)などでスルスルと値が切り上がる展開が想定される。年末特有の実現利益との相殺を狙った「損出し売り」も受渡日を考慮した実質ベースでは28日が最終日となり、この日を越えた最後の2日間は特に上昇が期待できそうだ。
一方、年始はやや神経質な展開が想定される。米連邦準備制度理事会(FRB)がタカ派にシフトするなか、世界的な金融引き締めによる緩和マネー縮小に対しては警戒感がくすぶる。そうした中、1月5日には12月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨が発表される。FRBのウォラー理事が3月のFOMCでの利上げを示唆するなど一段とタカ派色の強い発言をしていることもあり、議事要旨内で改めて政策メンバーらの金融引き締めへの考え方を確認したい。
特に、量的緩和(QE)の縮小(テーパリング)の先にある量的引き締め(QT)への考え方に注目したい。インフレ高進が続くなか、市場の想定よりも早くバランスシート縮小に動くリスクもある。前述のFRBのウォラー理事は「最初の利上げ後すぐに資産圧縮を始めることは可能。バランスシートの調整を遅らせる理由はない」とも発言している。議事要旨内でのQTに関する触れ方次第では、市場が再び動揺する可能性があり、短期的な下振れリスクには注意したい。