2021年7月には、大阪府立労働センターで開催されることになり、施設側は利用を承認しましたが、街宣車の大音量での抗議活動などによる施設利用者への支障を理由に承認を取り消し。主催者側が承認取消の効力停止を求め、大阪地裁は申立を認めました。
これに対する府側の即時抗告を受けて、大阪高裁は「主催者が催物を平穏に行おうとしているのに、その催物の目的や主催者の思想、信条に反対する他のグループ等がこれを実力で阻止し、妨害しようとして紛争を起こすおそれがあることを理由に公の施設の利用を拒むことは憲法21条の趣旨(注、表現の自由等)に反する」と明言。街宣活動が激化しても、警察が騒音防止条例で規制するなどの対応ができる──と付言しています。
抗議を受けると混乱を理由に公共施設の利用を認めない傾向の中で、改めて司法が基本的人権を守る立場にある、と確認されました。
【プロフィール】
竹下正己(たけした・まさみ)/1946年大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年弁護士登録。
※週刊ポスト2022年1月14・21日号