それが現実問題として無理だとわかっているので、日本企業は間接業務のデジタル化に本腰を入れて取り組まず、生産性の低いホワイトカラーを抱え込んでいる。だから賃金を上げることができないのである。
にもかかわらず、朝日新聞などの大マスコミは、政府発表を垂れ流しながら「雇用を守れ」だの「非正規雇用をなくせ」だのと叫ぶだけだ。そんな社会主義的な主張を繰り返すばかりでは、とても「社会の木鐸」の役割を果たしているとは言えないだろう。
【プロフィール】
大前研一(おおまえ・けんいち)/1943年生まれ。マッキンゼー・アンド・カンパニー日本支社長、本社ディレクター等を経て、1994年退社。現在、ビジネス・ブレークスルー代表取締役会長、ビジネス・ブレークスルー大学学長などを務める。最新刊『日本の論点2022~23』(プレジデント社)。ほかに小学館新書『稼ぎ続ける力 「定年消滅」時代の新しい仕事論』等、著書多数。
※週刊ポスト2022年1月14・21日号