年末年始の休暇中、これまで自粛していた帰省や旅行をようやく実現できたという人もいるのではないだろうか。そうしたなか、仕事始めを迎えた途端、沖縄などの各地でオミクロン株の感染拡大が報じられた。今後は感染の急拡大が懸念されるが、一方で、2年近く続くコロナ禍で抑えられてきた人々の“消費欲”に火がつき始めているとの指摘もある。テレビで見た情報に釣られて高額な買い物をしたという30代主婦に、フリーライターの吉田みく氏が話を聞いた。
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感染者数が落ち着いてきた年末にかけ話題になったのが「リベンジ消費」だ。コロナ禍で消費を控えていた層が、今までの鬱憤を晴らすかのように各種サービスを利用したり、多量、または多額の買い物を再開する動きが一部に見られるという。夫と4歳の子を持つ都内在住のパート主婦、さくらさん(仮名・39歳)は自身の「リベンジ消費」がきっかけで夫婦喧嘩になったと打ち明けてくれた。
「リベンジ消費については、平日の情報番組で知りました。自粛生活を頑張る自分へのご褒美として、ハイブランドのバッグを購入する人たちの様子が放送されていました。皆ニコニコしながら話しており、凄く羨ましい気持ちになったんです。そして私も思い切って大きな買い物をしてしまったんです」(さくらさん、以下同)
さくらさんが購入したのは、以前から気になっていたものの、価格面で手が出なかった20万円を超えるダウンジャケット。これを買うために、独身時代からの貯金を切り崩したそうだ。手に入れた時は、今までにないほどの喜びを感じたという。
「新型コロナウイルス感染拡大が始まってから現在まで、私は我慢ばかりの生活を送っていました。夫は介護現場で働いているため、感染対策には人一倍気を遣っており、今では『収束するまでは自粛!』が口癖。特別定額給付金が支給された際も、『この先何があるか分からないから貯金しよう!』と、言っていました。夫の言い分もよく分かるのですが、正直、毎日楽しくありませんでした。それに加え、ワンオペ育児とパートで疲労困憊。私も、頑張る自分にご褒美をあげたかったんです……」
ダウンジャケットのことはすぐに夫に気づかれた。今まで我慢してきた分のご褒美として購入したことを伝えたが、「夫には響かなかった」と、さくらさんは嘆いていた。