かつての雑誌編集者は「十二指腸潰瘍になって一人前」
職業と流産についての調査もある。働く女性2909人を対象に全労連が行った調査(2015年)では、働きながら妊娠したことのある女性の23.2%、約4人に1人が流産を経験していた。この結果について、全労連は、「人手不足などで時間外労働免除といった制度を利用しづらい雰囲気があるのでは」とコメントしている。
さらにスウェーデンのカロリンスカ研究所では、職業と乳がんの関係も調査した。1万4000人を超える女性住民を追跡調査して、職業別の乳がんリスクを調べた。その結果、ブルーカラーの女性よりも、ホワイトカラーの女性の方が乳がんを患うリスクが高かったとされている。
日本人男性の3大がんと職業の関係も北里大学医学部助教授(当時)の江口尚氏らが研究しており、胃がん、肺がん、大腸がんで死亡した男性の相対死亡リスクが高い職業を分析したところ、飲食店や旅館、介護施設や美容院で働いている人のがん死亡率が高くなった。これは、夜勤を伴う不規則な交代勤務が多いことが影響するのではないかと考えられている。
「雑誌の編集者なども、ひと昔前は『十二指腸潰瘍になって一人前』といった風潮がありました。その業界で成功するためには、ある程度の無理をしなければならないという時代だったのです」
時代は変わり、健康を犠牲にして働くことは現代では認められない。しかし、深刻な状況は現在も続いている。
※女性セブン2022年1月20・27日号