「隙間産業」で大躍進
まず馬渕氏が注目したのは、経産省が選定した「グローバルニッチトップ企業」だ。2020年、世界市場の「隙間産業」と呼ばれる分野で高い競争力を持ち、存在感を増している国内企業113社が経産省により選定された。そのなかから業績好調な銘柄をピックアップしたという。
「なかでも特に注目しているのは、世界の情報通信を担う海底ケーブル用の光部品で世界トップの湖北工業。昨年12月に新規上場したばかりで株価上昇の余地はまだあると見ています。また、合成ゴムや合成樹脂などの機能化学品に強みを持つ大阪ソーダ、この先の需要拡大が期待できる自動車、建設、電子機器用のガラスで世界最大手のAGCなども要注目です」(馬渕氏)
前出・藤井氏も馬渕氏と同様、湖北工業を注目企業として挙げた。さらに「いまから大幅な上昇を狙うのであれば、やはり先を見越した『アフターコロナ』関連が有望」として、日機装などを挙げる。
「同社が手がける航空機の逆噴射装置用車輪ブレーキ補助装置はエアバスやボーイングをはじめほぼすべての機体に採用されており、世界シェアを独占。コロナ収束後の航空需要の高まりは、間違いなく追い風になるはずです」
表の掲載からは漏れたが、航空機の化粧室や厨房設備などの製造・整備を一手に引き受けるジャムコ(7408)も同じく注目銘柄だという。藤井氏が続ける。
「アフターコロナ関連をはじめ、世界で圧倒的なシェアを持つ企業でもオミクロン株の感染拡大などによる先行き不安から売り込まれている銘柄はある。それだけに、コロナという悪材料に出口が見えてくれば、株価が倍になっても不思議ではないと考えています」
「モノづくり」は健在
マーケットバンク代表の岡山憲史氏は、次のように指摘する。
「時価総額で見ると、日本企業は米国のアップルやマイクロソフト、グーグルといった巨大IT企業に大きく引き離され、1989年にトップだった世界競争力ランキングも、いまや31位まで急落。日本企業の凋落がはっきりしているように見えます。
しかし、名の知れた大企業だけでなく、知名度は低くても世界に誇れる企業は多数存在します」