新春早々、世界のIT業界、自動車業界に衝撃を与えるビッグニュースが飛び込んできた。米国ラスベガスで開催されたテクノロジー大規模展示会で、1月4日(現地時間)、ソニーグループは電気自動車(EV)の新会社「ソニーモビリティ」を今年春に設立し、「EVの市場投入を本格的に検討していく」(吉田憲一郎社長)と発表した。
世界では台湾の鴻海精密工業が参入、米国半導体大手のインテルも中国企業との共同で完全自動運転EVの開発計画を発表した。米アップル社の参入も予想されており、まさに「100年に一度」の大転換期を迎えている。ソニーはすでに2020年に最初のEV試作車を発表しているが、これまで量産化には否定的だった。それが一転、EVへの本格参入の方針を掲げたのである。ITジャーナリストの西田宗千佳氏が語る。
「EV市場が当初の想定より大きくなると判断したということでしょう。またEVは安全性能などでセンサーを使う技術が非常に多く、ソニーはその部分で強みがある。既存の自動車メーカーとは違うものが商品化できると考えたのだと思います」
本家の自動車業界でも世界首位のトヨタ自動車が昨年12月、16車種のEVを同時発表し、生産設備や開発に4兆円を投じて2030年に世界で350万台のEVを販売するとぶち上げた。ハイブリッド車で世界を席巻し、水素自動車に力を入れる半面、EVには消極的と見られていた“ガリバー”の本格参入宣言にEV開発で先行する各社は驚き、“トヨタショック”と呼ばれた。
モータリゼーションに革新をもたらすとされるEVはいまや世界で最も競争が激しい分野だ。
欧州委員会は2035年までにハイブリッドを含むガソリン車の新車販売を原則禁止する方針を発表し、米国も2030年までに販売される新車の50%以上をEVと燃料電池車にする。それを受けてEV化への流れが加速、2035年にはEVの販売台数は現在の10倍以上の2418万台まで拡大すると予測されている。