そんな岡山氏が目を向けるのが、世界のモノづくりを支える工作機械メーカーだ。
「主力の放電加工機で世界シェア3割のトップであり、モノづくりの工程をトータルでサポートするソディック、精密切削工具の大手でねじ切り工具(タップ・ダイス)で世界シェア3割超のOSGなどは世界のモノづくりになくてはならない存在といえます」(岡山氏)
ほかにも、複合機やプリンターに欠かせない磁性粉「電子写真用キャリア」で約7割と圧倒的な世界シェアを誇るパウダーテック、半導体向け感光材で5割の世界シェアを持つ東洋合成工業などは分野こそニッチながらも、世界から求められていることは疑いようがない。
さらに、「オプテックスグループは、世界初となる遠赤外線を用いた自動ドア用センサーのパイオニア。マニーはほとんど抵抗感のない『世界一切れる刃物』と評判の眼科ナイフを開発するなど、世界随一の技術力を持つ企業はまだまだある」(岡山氏)という。
マーケットアナリストの平野憲一氏(ケイ・アセット代表)も、まさにこれからの世界で躍進が期待される銘柄を挙げる。
「クボタは農機具トップメーカーですが、水道管の国内シェアも50%超。自動運転農機やドローンなどをAI(人工知能)などで管理するスマート農業をはじめ、食料・水・環境の世界的プラットフォーマーとして役割が増大するはずです。
移動式クレーンで世界シェア25%を誇るタダノもコロナ後の景気回復に向けて需要拡大が見込めるほか、フェイスブックが『メタ』に社名変更したように、『メタバース(ネット上の仮想空間)』が大きなテーマとなるなか、映像制作会社のIMAGICA GROUPの存在感も増すに違いない」
別表に掲載した30銘柄は4人の専門家がそれぞれ挙げたものだが、同時に2人が推す銘柄も含まれている。前述の湖北工業、日機装、ソディック、OSG、オプテックスグループなどがそれにあたる。
さらに、藤井、岡山、平野の3氏が揃って注目するのがナブテスコだ。産業用ロボット向けの精密減速機で世界シェア6割を占める同社の将来性を高く買う専門家が多いということだろう。
世界で戦える力を持つ日本企業はトヨタやソニーばかりではない。足元に目を凝らすと、こんなにもあるのだ。
※週刊ポスト2022年1月28日号